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カンボジア地雷除去支援

江角泰 (えずみ たい)

NPO法人テラ・ルネッサンスのカンボジア事業担当者。
大学時代に、NGO地雷ゼロ宮崎のメンバーとして参加した「テラ・ルネッサンスのカンボジア・スタディツアー」が、テラルネッサンスとの出会い。
現在は、カンボジアにおける地雷問題に取り組む他、弊社が進めるラオス支援活動も担当中。

【Vol.49】その2-善きことはカタツムリの速さで動く

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NPO法人テラ・ルネッサンスでは、2010年11月から試験的に自然養豚の支援をしていた地雷被害者のパン・プンさんの家族の養豚の目処がたったことから、2011年3月から他の地雷被害者の6家族にも支援を広げました。

バッタンバン州カムリエン郡は、もともと豊かな熱帯雨林に覆われていたところで、土地が豊かなこともあり、地雷が埋まっているにも関わらず、他の地域から土地を求めて移動してきて、農業を営む人たちがたくさんいました。地雷を自分で撤去してまで、土地を獲得した人もいて、当然地雷の被害にあってしまった人も少なからずいるのです。獲得した土地では、タイのビジネスマンが大きなトラックで買い付けにくる、トウモロコシやキャッサバを栽培していますが、こうした作物の栽培も天候に大きく左右されます。雨が適度に降り、作物の栽培がうまくいったときには、かなりの収入が期待できますが、うまくいかなかったときは、ほとんど収入がありません。この不安定さを補う1つの方法が、天候の影響を受けにくい家畜の飼育を組み合わせることです。家禽類は、感染症に弱いために不安定ですが、豚は比較的病気に強く、飼育がしやすいのです。

ただ、最初の問題がありました。それは、多くの子豚の注文先が、約100キロ離れた街であること。なかなか近くで子豚が購入できる所がなかったのです。長距離を運ばれてきた子豚は、かなり衰弱しているものがありました。地雷被害者のイアンさんとアト・マオさんの注文した子豚は、どちらも下痢をしていて、衰弱しており、まもなく3、4匹が次々と亡くなってしまいました。生き残った1、2匹の子豚はなんとか回復して、その後は問題なく大きく成長しました。運ばれてきた100キロほどの道のりは、ほとんど舗装されていない悪路で、子豚もかなりの体力を消耗したようですし、また注文した場所が遠すぎるため、注文した子豚が健康なのかどうか運ばれてくるまで分からないという問題がありました。最初から衰弱した子豚だった可能性もあります。その他の家族では、それぞれ4?5頭ずつ注文しましたが、問題なく元気に成長しました。イアンさんの生き残った豚も、8月には売ることができ、そのお金で台所用の別棟を建てることができました。

プレア・プット村に住むスオンさんのもとでは、4頭の豚が元気に順調に成長していたものの、作物の栽培のために村人がまいた除草剤で、餌となる草が確保できなくなったことから8月に売ることにしました。タイ国境の目の前に住んでいるスオンさんは、国境にある市場で豚を自分で売ることで、より高い収入を得ることができました。また、草が生えてきたら、豚飼育を再開したいと考えています。

さて、一番頭を悩ませているのは、最初に試験飼育を始めたパン・プンさんの家族。他の地雷被害者に比べても特に厳しく、日々食べるものにも欠くほどの生活状況です。試験飼育をしていた子豚1頭は4月に売り、新しく追加支援をして4頭の子豚を飼い始めましたが、6月にそのうちの1頭が寄生虫に感染して、亡くなってしまいました。おがくずを利用した自然養豚の方法による豚舎の中では寄生虫も感染しにくいはずですが、どうやら豚舎から豚を出して、放牧していたときに感染したようです。その後、他の3頭は元気に成長していましたが、今度は8月に大家さんから「土地を使いたいので返して欲しい」と言われ、豚飼育をしている今の家を出なければならなくなりました。頼る親戚もなく、土地も家も持たないプンさん家族は、これからどうやって住む場所を確保するか考えなければなりません。しかも土地がなければ、養豚も続けられなくなってしまうのです。でも諦めるわけにはいきません。  同じ養豚の支援でも、それぞれの家族で問題が違い、出てくる問題1つひとつに細かく対応していくことが求められます。それができるのが、草の根的な活動ができ、柔軟に動けるNGOの特徴です。現在、遠距離の移動を避け、継続的に養豚ができるように、カムリエン郡で豚を繁殖させる支援も始める予定です。プンさんの家族は、村長さんや村人たちと協議して、プンさん家族が住むための小さな土地を確保するために奮闘しています。乗り越えるべき問題は、たくさんありますが、「善きことはカタツムリの速さで動く」というマハトマ・ガンジーの言葉のように、1つひとつの問題を解決し、1人ひとりが安心して生活できる社会を実現していきます。

江角泰(えずみ たい)

江角泰(えずみ たい)氏
NPO法人テラ・ルネッサンスのカンボジア事業担当者。
大学時代に、NGO地雷ゼロ宮崎のメンバーとして参加した「テラ・ルネッサンスのカンボジア・スタディツアー」が、テラルネッサンスとの出会い。
現在は、カンボジアにおける地雷問題に取り組む他、弊社が進めるラオス支援活動も担当中。
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- カンボジア地雷除去支援 - 2011年10月発刊 Vol.49

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