かつて、社会人として医療現場で働きだしたころ、私がのめり込んだのがサーフィンだった。毎月、夜勤明けの2連休を見つけては、寝る間も惜しみ片道6時間以上をかけて、ひとり高知県に車を走らせて海に通っていた。決してスイスイ波に乗れるわけでなく、サイズの大きい波に巻かれること、潮の流れで思うように動けないこと、怪我も多々あったが、相棒の板に乗ってプカプカと波待ちに海に浮いているだけで、日々の疲れやストレスがどこかに飛んでいき、どうしようもなく楽しくて心地よかった、海も大好きだった。しかし2011年、東日本大震災を機にいろいろと思い、サーフィンはしなくなった。大好きだった海が好きではなくなってしまったのだった。
それから10年の月日が経とうとしているが、サーフィンほどのめり込めることには巡り合わず、子どもが産まれて以降は、ますます趣味がないような状態になっていた。特段、問題ではないのかもしれないが、どうもこの趣味がないという状態に納得がいかず、打開策として今年の正月に『明確な趣味を見つける』という目標を立てた。これを達成するために、まずは現在の自分の状況を客観的に考えてみた。
現在、プレマルシェ・オルタナティブ・ダイナーでの仕事は、料理と接客サービス以外にも多岐にわたり、写真撮影や、最近では若いスタッフを中心に動画作成にも取り組んでいる。医療という畑違いの職種から飲食の世界に入って、まだまだ毎日修行と勉強の日々だが、今まで感じたことのない、つくる楽しさと喜びがある。また自分には到底できないと思っていた写真撮影が楽しくて、さらに勉強したいとも感じている。動画作成も若者のスキルとセンスに感嘆し、「動画は任せた!」と言ってはいるが、ひそかに「いつかは自分もできるようになりたい」と思っている。プライベートでは家庭菜園やヨガ、 いままでの人生で何度も三日坊主で終わっていた読書の習慣が初めて継続している。客観的に考えると、驚いたことに、自分の周りには興味のあることがあふれていた。また、この状況はプレマでの出会いが大きく関わっている。
「趣味」という言葉にとらわれず、出会ったご縁や環境に感謝し、これからは毎日をただこなすのではなく、一つひとつの興味にしっかりと気を留め、いつも全力で取り組んでいきたいと思う。そしてそうすることが、またいつか熱中してのめり込める、なにかとの出会いにつながるとも信じている。
プレマルシェ・オルタナティブ・
ダイナー スタッフ
清本 和美
(きよもと かずみ)
妊娠出産を機に、長年気になっていた『食』について意識するように。 2018年プレマルシェの飲食スタッフ募集に応募、現在に至る。 前職は、医療従事者として大学病院で十数年勤務。一児の母。