昨年秋、55歳にして人生初のハーフマラソンを完走しました。小さいころから運動音痴で、コツコツ努力をするのも苦手。だからマラソンは大嫌い。学校のマラソン大会では、どうにかして欠席できないかと考えたり、途中でサボって、さも走ったかのようなフリをして戻ったりしてきました。
そんな私が、なぜこの歳でマラソンに挑戦したのか? きっかけは新型コロナウイルスの流行でした。「ステイホーム」で家に籠る日々。じっとしているのが苦手で、すぐに出かけたくなる性格なので、想像以上に苦痛でした。「このままではおかしくなる!」と危機感を覚え、とりあえず家から近い京都御苑に散歩に出ることにしました。そこには樹齢何百年の大木がたくさん。どんなに世間が騒がしくても悠々とそこにいてくれました。それ以来、毎日、京都御苑に行き、緑のなかに身を置くことで心の平静を保っていたように思います。そして、通っていたジムが一時閉鎖したのをきっかけに、この御苑を走ろうと思いつきました。最初は2〜3キロ走るのが精一杯。そのうちランニングをする友人に刺激を受け、少しずつ走る距離を伸ばしました。距離が伸びてタイムも速くなってくると面白くなってきました。
そして昨年の夏。国立競技場のトラックを走れるハーフマラソンがあると聞き、試しに応募してみたら見事に当選し、出場することになりました。当日はドキドキ。21.09キロなんて走ったこともないし制限時間もある。途中棄権は嫌だなぁ、と不安ばかり。目標は「制限時間内の完走」でしたが、レースとなるとアドレナリンが出るのか、普段よりスピードを出すことができました。さすがに後半はバテバテでしたが、沿道からのたくさんの応援に力をもらって、2時間17分でフィニッシュすることができました。
初のハーフマラソンで印象に残ったこと。それは、たくさんのボランティアの方のおかげで大会が成り立っていること、そのボランティアの方や、沿道の見ず知らずの方が、一生懸命応援してくれること。その声援からもらうエネルギーの大きなことといったら! おかげで最後まで走り切ることができたのです。心が震え、何度も泣きそうになりました。コロナ渦だからこそ、感じたあたたかさかもしれません。
子どものころの「苦手」って案外当てにならないものなのかもしれませんよ! マラソンにはまた挑戦するつもりです。でも、フルマラソンは、やっぱり無理だと思うなぁ。
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西村 初美(にしむら はつみ)
京都市生まれ。2013年よりプレマ勤務。何事も行き当たりばったりで後から困ることも多々。そんなバタバタの日常ですが、ときには大好きな山や自然に身を置くことで心癒されています。