島国日本では海の見える景色に絶景が多く、海岸線に沿って車で走ると岬をめぐる楽しみがあります。「岬めぐりのバスは走る」このフレーズに親しみを感じる年代の方は多いのではないでしょうか。
先ごろ亡くなった山本コウタローさんが玄米食普及に尽力され、食と平和の関係を強くうったえられていたことは、知らない方も多いでしょう。私が映画好きだった少年時代に、新感覚映画雑誌の『ロードショー』が発売になり、新進気鋭の映画評論家の吉田真由美さんがよく記事を書いていました。しばらくして、彼女は体調を崩し、マクロビオティックに出合い、食生活を一変させ元気に甦ります。
山本コウタローさんに初めてお会いしたのは、パートナーの吉田真由美さん宅にマクロビオティックの講演依頼にお伺いしたときでした。80年代初頭にFM大阪の朝の番組を担当されていたのを聞いていたのでなじみがありましたが、まさか目の前にコウタロー氏がくつろいで食事をしているとは思わなかったので、ミーハーな私としてはすごく嬉しい気分になったのを覚えています。そして、15年ほど前に前職の周年イベントで、講演とライブをお願いしました。そのとき参加者と一緒に「岬めぐり」を熱唱した感動は忘れられません。ご冥福をお祈りいたします。
出会いがあれば、別れがある。「ハジメあるものにオワリあり」宇宙の秩序の7つの法則のひとつです。この世は相対的にできており絶対的なものはなにひとつない。だから、どんなに困難な境遇にあっても諦めてはいけないし、どんなに調子が良いときでも調子に乗ってはいけないということ。先人の智恵に代表されるように普遍的な考え方なのです。どんな敵も、どんな困難もやがて「オワリ」を迎えることがわかると不安は消え去ります。
伝説のスープが甦る
身体を健全に保つには、いい栄養を摂ることも大切ですが、身体の中の溜まった毒素を排出することも忘れてはなりません。「呼吸」は「はいて」「すう」と書くように、まず出すことから始まります。食べたものがすべて栄養になるわけではなく、不要なものは身体の外に出す機能が備わっているのです。しかし、その機能を発揮させるためには、身体のメンテナンスが必要です。身体の精妙なセンサーの役割は、身体のポテンシャルが最高の状態で発揮されます。
そのためには日常の食事が重要になってきます。家庭の台所にある伝統食材と先人の知恵、そして、現代の最新の知恵を融合させた台所から始まる「キッチンメディスン」という考え方を弊社では提案しています。化学物質が氾濫しすぎている今の時代を生きる人は、「溜めやすい」体質になっています。その体質を整えるために、干し大根と乾しいたけをゆっくり煮だし、ほんのり甘いスープに仕上げました。国内で育った大根としいたけを「干す(乾す)」が出発点のスッキリしたスープ。甘みがあって、バランスも良く、なにより温めるだけで簡単に食べられ、とても便利です。
家庭の台所にある乾しいたけと干し大根(切干大根)を煮だして作ればいいのですが、調子がすぐれないときには、なにをするにも億劫です。そんなときに自分へのご褒美としても、罪には問われません。甘味と旨味のシンフォニーに、身体と心をゆだねることで、身体の精妙なセンサーと機能を最大限に引き上げてくれることでしょう。温めてそのままでも美味しいスープですが、ブイヨンの代わりに使ったり、お好みで調味したりしても美味しくいただけます。