シリーズ1
-文学に、アートに、少女に、そして竹に魅せられて-
【第4回】竹からのメッセージ
これまで誰にも話したことはなかったが、実は竹と会話をしたことがある。
ボディタオルなど基本アイテムがすでにできあがっていた時期、愛媛の松山で展示会をするため、フェリーで四国に移動し、松山に向かって高速道路を走っていると、トンネルを覆い隠さんばかりの竹が茂っていた。
何気なく、「あんた、なんでそんなに茂る必要があるの?」と、問いかけると・・・。
「あんたら人間は、ここまで茂らないと気がつかないからよ」と、竹からの返事!
「私は言葉が話せないから、あなた達愚かな人間に知らせるためにはこうするしかないでしょ。あなた達が抱えている問題のいくつかは、私を利用すれば解決できるのよ」
という竹のメッセージに、私は思いをめぐらした。
「確かに竹はいろいろなシーンで使われてきたのに、いつの間にかなくなってしまっている」と。
例えば、昔は農作業に竹は不可欠で、田んぼの隣には竹林というのが当たり前だったはずなのに、もはやそんな風景も見あたらない。
竹製品といえば、堅くて強くて真っ直ぐ、といった竹の特質を利用したものが多いが、歴史をさかのぼると、日本の田舎でも竹から繊維を使って衣服にしていたらしい。もちろん今の竹布のように柔らかいものではなく、麻のような肌触りの繊維だったようだが。
とはいえ、やはり竹は邪魔者扱いされることが多く、日本国は竹を資源として認めておらず、その分布状況等もほとんど把握されていない。しかし、竹との会話という不思議な経験をした私は、「何とか竹をうまく使ってあげたい!」と、竹の総合利用を検討し始めた。
次回は竹布の創生期時代のお話・・・どうぞお楽しみに!