竹繊維を世界に広めるという使命に邁進するナファ生活研究所相田社長。
相田社長と竹布の魅力を全6回連載で伝えます!
シリーズ1
-文学に、アートに、少女に、そして竹に魅せられて-
【最終回】人々を癒す一枚のガーゼ
分析センターの試験結果、それは抗菌力の評価だった。
「どうして天然繊維でそれだけの力があるのか」と考え込んでしまったほどの抗菌力だ。抗菌剤で一時的に抗菌力を持たせる繊維は数あれど、竹繊維はそれらとはまったく異なる。
試験結果を眺めながら竹の役割をじっくり考えてみた。
すると、一つの言葉が頭に浮かんできたのだ。
「人が最も痛み苦しんでいる時に、そっと寄り添ってただ快癒を祈る一枚のガーゼ」
担っている役目が明確になった瞬間、あのとき私に語りかけた竹が、「ほらね」といってるのが聞こえた気がした。自然治癒力で皮膚膜が再生するまでの間、竹のガーゼが傷ついた人を感染症から守るのだ。
ある大学病院の院長からは、価格が綿のガーゼに近づけば間違いなく世界中の医療現場で竹繊維に置き替わるだろうとお墨付きをもらった。
コストを下げる方法は二つある。ひとつは農民から搾取し中間業者をたたく。でもそれは神聖なものを扱う人間のやり方ではない。今試みているのは、自ら竹を育て農民に適正な報酬を支払い管理を委託し、原料のパルプを自ら作って工程上の効率化を図る方法だ。
すべての副産物は再利用して、トータル的に繊維の価格を引き下げる。これが私たちの目指す竹の総合利用だ。
ガーゼは、五年以内に世界中のすべての医療現場に届けるべく日々取り組んでいる。また、自国および発展途上国の環境保全と、その教育を行うために世界竹資源協会を設立して基金を作る構想もある。
ひとっ飛びには叶わないが、一歩一歩進歩する私たちと竹布を、おおらかな心で応援してくださることに心から感謝をしたい