竹繊維を世界に広めるという使命に邁進するナファ生活研究所相田社長。
相田社長と竹布の魅力を全6回連載で伝えます!
シリーズ1
-文学に、アートに、少女に、そして竹に魅せられて-
【第5回】竹布の完成
中国の友人と竹繊維の試作を始めたが、半年経っても連絡がない。やはり無理か・・・とあきらめた頃、竹繊維の綿(わた)を手にすることになった。話を聞くと、満足のいく強度でないため、見せるのが恥ずかしかったらしい。しかし私が見た試作品は、荒削りながらもまるでシルクのようにキラキラと輝きなんとも柔らかくて美しい繊維だった。
パートナーにとっては不完全な試作品、「どうする?」と心配げに聞かれたが、想像だにしなかったその美しい繊維に心を奪われた私は、大変だけどもう少し続けようと答えていた。
当初は糸にもならなかったが、慈竹(ジチク)に巡り会い、さらに約 品種を混ぜて強度を安定させることに成功した。現在は自分たちで竹を育てながら、さらに強度を上げる取り組みを継続している。
つくづく不思議だと思うのは、エネルギーをたくさん蓄えている成木の竹を切ると、翌年には必ずタケノコが生えることだ。こうして活用しても資源は減らない。農薬も肥料も不要、ただ切るだけでいい。しっかり管理すれば資源は絶対になくならない。
そして、シルクのように光沢があり柔らかいが、竹は自分で勝手に伸びてくれるので、シルクのように原料の確保に手がかかることはない。ということは、将来的にはコストを下げられるのではないか?生産に農薬使用を伴う綿の代替繊維として定着しうるのではないか?と、竹の可能性への思いが駆けめぐる。そんな中、分析センターの試験結果を目の当たりにして、私たちは本当の役割を見いだしたのだった。
竹の本当の役割とは・・・?
最終章をお楽しみに!