「わっしょい、わっしょい」スカッとした秋晴れの空に、お父さんたちの大きな声が響き渡ります。息子の初めての運動会。ちょうどこの日、夫は40歳の大台にのりました。
夫は3年前に頸椎の手術をしており、疲れがたまるといつも「首が痛い・・・」と言っています。それでも日々忙しくあちこち飛び回り、今回も息子の運動会のために中国出張を切り上げ、帰ってきていました。プログラムが進み「パパ参加の綱引きです」のアナウンスに、頸椎症をおして張り切って出場しました。さすが夫、チームの先頭で大きなかけ声をかけ、顔を真っ赤にして綱を引いています。そして、2戦とも圧勝。勝利チームに配られたワインボトルをかかげて戻ってきました。
すばらしい健闘で息子の運動会を盛り上げ、それはまるで、その日始まった40代が華々しいものになると暗示しているかのようでした。
がしかし、その華々しさはすぐに薄れ、40代の現実を思い知らされたのです。なんと夫は、完全に綱引きで腰がやられてしまった模様。その後の「パパ・ママリレー」への参加ができないばかりか、運動会が終わって数日たつ今でも「腰が痛い・・」と、生まれたばかりの次男坊を座って抱くこともままならない状態になってしまいました。
今までは、何かあると“首は大丈夫かしら?”と心配をしていましたが、これからは心配するところが増えてきたようです。夫は「綱引きでこんなに腰が痛くなるなんて」と、信じられない様子でしたが、気持ちは若くても20代の動きにはやはりならないのですね。要注意と教えられました。
そういえば、運動会の主役であった息子のことにまったくふれていませんでしたが、夫から「将来絶対に大物になる」という言葉をかけられるほどの、我が道をゆく協調性のなさ。運動会のあと「けいと(長男)ね、がんばったっしょー」と言って、参加賞の金メダルを光らせていましたが、息子の首に輝いていた金メダルは、お父さんにかけてあげるべきだと思いました。身を挺してがんばったお父さんへのお誕生日プレゼントが腰痛とは、かわいそうすぎますからね。