紫陽花が美しく咲き誇る時期になりました。「七変化」と呼ばれる花の変化は、年ごとにまた、季節ごとに時々の美しさをみせてくれます。
そんな紫陽花は、私の好きな花の一つです。きっかけは、祖母の描いた“紫陽花の絵”からでした。今年83歳になる祖母は、祖父が亡くなってから油絵を始めました。最近は、なかなか筆をとって作品を完成させるところまではいかないようですが、私が一緒にいたころは、よく描いていたものです。
その“紫陽花”の絵は、今、この時期の紫陽花ではなく、そのまま花を保ち秋口まで咲き続けている“秋紫陽花”でした。この絵を見たときに初めて、紫陽花は秋まで色を変化させながら咲き続けることを知り、驚いたものです。毎年秋口まで、ひっそりと咲き続けているのを、それまで気がつきもしませんでした。
祖母の描いた“秋紫陽花”は、もともと青紫の紫陽花が秋口に淡い緑に変化したものでした。梅雨時期の鮮やかな色で咲き誇っているのとは違い、落ち着いたとても品のある紫陽花になります。まるでその花の姿は、祖母のようにも思えます。私もこの紫陽花のように、その時々の色の美しさを出してゆけるような女性になりたいものです。
あまりにも私が気に入ったので、“紫陽花の絵”は、私がもらえることになっています。今までは「飾るところがないなぁ」と、実家に置いていましたが、次の引越を期に飾ろうかと、今年の紫陽花をみて思いました。
おばあちゃまにも、会いに帰ろうかな。