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鍼療室からの伝言

鍼灸師の西下先生による陰陽や自然食。二十四節気など古来の智恵のお話

圭鍼灸院 院長 鍼灸師
マクロビオティック・カウンセラー

西下 圭一 (にしした けいいち)

新生児から高齢者まで、整形外科から内科まで。年齢や症状を問わないオールラウンドな治療スタイルは「駆け込み寺」と称され医療関係者やセラピストも多数来院。自身も生涯現役を目指すアスリートで動作解析・運動指導に定評がありプロ選手やトップアスリートに支持されている。

勝つ自由、楽しむ自由

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「誰にも負けないって言えるほど、得意なことはある?」。
治療で携わった選手のケガが治ってきて競技復帰できそうになると尋ねてみます。
「後半の加速力には自信ある」というスプリンター、「ラストスパートは負けない」という長距離ランナー、「どんなボールがきてもレシーブで拾えると思う」というバレーボール選手など……。
「これだけは負けない」と言い切れるものを持っている選手は強いものです。

一方でなかなか見つけ出せていない選手もいます。
得意なことを答えられなければ苦手なことを尋ねてみる。
すると「自分はスタートが下手くそで……」と返ってきます。
「スタートがイマイチなのにそれだけ走れるってことは加速力があるってこと。
トップスピードに早く乗ることを考えればいいんじゃないか」と伝えてみると、途端に嬉しそうな顔をします。
顧問の先生から「スタートが下手」と言われ続けてきて、そこばかりが気になっていたと言うのです。

謙虚さの本質

指導者によっては、ダメなところを指摘しがちなもの。
人それぞれ違うことはわかっていても、つい苦手分野を克服させて〝平均化〟を図ろうとする傾向にあります。
得意なことに気づかせてもらえず苦手なことと向き合ってばかりでは、競技に向かう姿勢を委縮させてしまいかねません。

競技会という〝場〟について考えてみます。
もちろん勝負ごととして負けたくない対戦相手に意識が向くところでしょう。
一方で〝場〟という意味では「自分はこんなに速いぞ」とか「私って上手いでしょ」というのを見せ合う〝自慢大会〟のような側面があるもので、応援してくれる存在や観客、または切磋琢磨しあうライバルたちに意識が向いていることになる。
または〝場〟に臨むにあたって、得意分野を伸ばそうとしたり、苦手を克服しようとしたり取り組んできたものがあれば、意識としては〝過去の自分〟に向いている。
同じ競技をしていても意識の向けどころが違えば、がんばり方も違う。
いろいろな楽しみ方があるわけで、勝つこと以外にもそうした楽しみ方を選手が選択する自由も尊重されて良いのではないでしょうか。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、あまりにも勝つことだけが求められている気がします。
結果にこだわるのは悪いことではありませんが、メダルの数ばかり他国と競い合うのでは窮屈な気がします。
そうした勝利至上主義によって、のちに〝燃え尽き症候群〟を量産してしまわなければいいなと願うところです。

自分のGOODを見つける

スポーツに限ったことでなく仕事でもなんでも、「私は○○が得意」と言い切れる人は強い。
どんなに小さなことでもいいから、自分の得意とすることを見つけていきたいものです。

「もったいない」という思いも家庭では強みになります。
例えば「これまでに食材を捨てたことがない」という主婦がおられます。
買い置きしてあったものや、ときにはいただき物の野菜など工夫してきれいに使い切る。
それだけ料理のレパートリーを持っているからこそなせる技。
「得意なこと」と言い切って良いでしょう。

自分では当たり前と思っていることでも、人から「すごいね」「ありがとう」と言われるということは、そこに〝GOODの種〟はある。
植物に水をあげれば成長するように、自分の種に目を向け続ければ成長していくものです。

棋士の羽生善治竜王は「勝ち負けにはもちろんこだわるんですが、大切なのは過程です。結果だけならジャンケンでいい」とおっしゃったそうです。
プロセスあっての結果です。
結果にこだわるのも自由、プロセスを楽しむのも自由。
なにより自分が「楽しい」という気持ちは忘れたくないものですね。

- 鍼療室からの伝言 - 2019年1月発刊 vol.136

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