いくつになったら高齢?
「高齢出産」という言い方が「高年出産」へと一斉に置き換わった時期がありました。しかし、最近はまた「高齢出産」という単語を見かけるようになりました。もし「高齢呼ばわりするのは失礼」というような配慮が言い換えの背後にあったとしたら、失礼だと決めつけるほうが失礼だった、ということなんでしょうか?
初婚年齢も出産年齢も高くなっている現在、日本産婦人科学会のサイトでは、高齢出産の年齢の定義がありません。「しかし40歳でも99%は大丈夫なわけで、無茶苦茶リスクが高いというわけではありません。どう考えるかはその人次第ということになります」と書かれています。実際、「高齢」を支える産科医療は取り揃っています。
わたしが第一子を産んだのは37歳。当時でも珍しくはありませんでしたが、産婦人科の病院では、出生前診断を強く勧められました。「羊水検査による流産率と、染色体異常が起こる確率が、37歳で逆転するから」という説明でした。今では(確定診断は結局絨毛検査か羊水検査だし、是非はともあれ)もっとリスクの低い検査から始められるので、そんな説明は最初にされないでしょうね。それでも「何歳から高齢出産か」と問うと、「35歳から」という昔ながらの目安を出す傾向があるようです。とはいえ、35歳だと産院によっては妊婦さんの大半が「高齢」になってしまうみたい。だから、「30代後半」が一つの答えになるようです。
なぜここで年齢要件を書いているかというと、医療介入のないお産を望むときに、年齢が上がると、その分ハードルが上がるからです。わたしがお世話になった助産院で産む人がとても少なくなっている、という話を聞きました。産後ケア入院や通院などはあっても、実際に助産院でお産する、お産できる妊婦さんが減っている、ということです。医療介入のないお産から始めたわたしが、年齢的にも医療介入を避けられなかった第三子の病院出産のときのQOLを考えると、同じ産むなら助産院を経験しないのは、もったいないなぁと思います。産める場所に選択の余地があれば、ぜひ助産院を候補に入れてみてください。その違いをきちんと知っていれば、助産院で産みたい人が必ず増えると思うくらいに違います。
本能的に吐き出す
ある程度の年齢になってくると、自分一人でできることには限界があることがよくわかってきます。妊娠中は、自分一人では解決できなかったことに向き合う期間でもあり、おなかの子と一緒に、バージョンアップした自分を産み直す期間です。
わたしが産んだ助産院の院長先生はフリースタイル出産のパイオニアで、「お産のとき、妊婦さんは自分のなかに潜むネガティブなものを本能的に吐き出す」とおっしゃっていました。いくら所見がよくても、お産が始まらない妊婦さんの多くは、話を聞くと、生育歴などなにか抱えている問題が出てくるのだそう。吐き出して整うとホルモンが作用して、お産が始まるんだそうです。
また、院長先生は「新しい命を迎え入れる前に、自然におこなわれる浄化のシステムがあり、体の歴史を見直して迎えるのが本来の姿だ」ともおっしゃっていました。今これを読んでいる妊婦さんは、自分のこころと体に丁寧に向き合ってらっしゃるはずです。今見えているものは、人生において本当に必要なもの。見つめ納得して、いいお産を迎えてくださいね。