5度差が現実的でない今
暑いですね。梅雨が明けたら、あっという間に夏になりました。湿度も気温も高いので、熱中症へのアラートをあちこちで目にします。そして、「遅れてきた熱中症」も話題になっています。それは暑かった当日でなく、翌日以降に、軽く発熱したり、具合が悪くなる状態を指すそうです。妊婦さんは、健診で出かける必要もあり、安産のためには適度な運動も必要で、歩くことも勧められるので、外が暑すぎるとバランスが本当に難しいですよね。
もちろん妊娠中に限らず、この暑さはだれもがつらいので、空調へのエコ感覚が鈍っている気がします。
自然派で有名な小児科のお医者さまが、エアコンの最適な設定温度は外気温との差が5度以内だとおっしゃっていたのが、今となれば遠い印象です。外気温との差を5度に抑えようと思うと、外気温が34度だと、室温は29度になります。29度を保ったまま、湿度50%くらいまで除湿するのは難しいと思うので、結果的に、夏なのに汗をかけず、寒さに震えるのが当たり前になりがちです。
そうはいっても、妊娠中は冷えが大敵です。この季節の冷えは、感染症が猛威をふるう秋冬の身体の弱さとなって出てきます。汗をかく量は人それぞれなので、肌着が湿って冷える場合は、汗をかく時間帯を空調で調整しつつ、プレマで扱っている衣類だと、乾きやすさを優先した混紡素材のものも良いと思います。この季節は吸湿性と放湿性の高いシルクを上手に使うのがおすすめです。敏感になっている自分にとって気持ちのいい素材を見つけ、首、くびれ(お腹まわり)、手首、足首の「くび」のつくところを冷えから守ってください。お腹まわりを守る腹巻きについては、マタニティは面積も大きく、湿ると着替えるしかないかもしれませんが、かなり涼しい部屋にいても、首とデコルテを守ることで体感が違います。天然素材で首まわりを温めることは、長い目で見てプラスです。デコルテを冷やさないことで、母乳育児の準備にもなります。
子宮内フローラもある
食べるものでも冷え対策はできます。妊婦さんを怖がらせたくないので少しだけ触れると、主に妊娠初期に検査されるトキソプラズマが、人間の行動に影響を及ぼし、例えば交通事故に遭う確率を上げる、といった研究結果を読みました。妊婦さん向けの説明だと、発熱や倦怠感などが書かれているので、気になる人以外はあまり意識していないと予想します。でも、そんなに珍しくない寄生虫でも、宿主の免疫細胞や脳に働きかけ、行動に影響するわけです。
トキソプラズマが特に怖いと思っているわけではなく、結局人体のバランスだと思っています。そもそも腸内細菌は脳にも影響を及ぼすといわれているので、腸内フローラが整っていれば、全体的にすごく悪いことになるとは思えない。最近は、子宮内フローラにも注目されています。もちろん腸と相関があり、妊娠そのものに、腸内環境が影響するという観点です。
だから、腸内環境にプラスになるもので、冷えを取るのが一番合理的なのではないでしょうか。湿気が多い季節は脾臓に負担がかかるといわれています。脾臓のケアに勧められる食材のなかでも、夏に取り入れやすいのが生姜だと思います。生の生姜は身体を冷やすので、加熱した生姜を上手に摂って、身体が冷えない夏を目指したいですね。無理なく、暑い最中は休みつつ、乗りきりましょう。