私がプレマを開業する前に薬屋で働いていたことは、本稿でもたびたびお話ししています。本品の着想もやはりその時代に遡ります。
「できるだけ薬を売らない薬屋を作ろう」という社長から命じられたミッションを、私は忠実に果たそうと迅速に実現しようとしていました。薬屋の棚から薬は消えて、自然食品が並びました。ムソーさんと取引開始したのもその当時です。しかし、あとでわかったことですが、実際には薬のほうが儲かるので、社長の意向はその言葉通りではなく、「しっかり儲かる薬も(定価で)売りながら、同じくらい、もしくはそれ以上がっつり儲かる原価の安い健康食品を高く売る」ということが私に求められていた役割だと知りました。どうも、そういう京都人的なやりとりに疎く、ストレートな物言いをしてしまう私は、未だに「中川さんは東京の人ですよね?」と言われてしまいます。いえ、私は完全に京都人なのですが、こういう本音と建て前の使い分けができず、なおかつ、ちゃんと理解もできていなかったようです。薬が自然食品に変わってしまい、あまりの利益率の低さに社長は恐れおののいたのか、私への風当たりは日増しに強くなっていました。
さて、その薬屋には近所のご老人がたくさんお越しになりました。膝に水が溜まる、痛くてしょうがないと相談されたときには、ざっくりシップでも定価で売っておけばいいのですが、つい「彼岸花の根っこをすりつぶして、ガーゼに塗って巻いておけば膝の水なんて簡単に抜けますよ」と言ってしまい、結局何も売らずに帰ってもらうことになって、後日、ものすごく感謝されるわけです。こういうアホな輩を雇ってしまった社長は、とてもかわいそうでした。建て前は「感謝されることが重要」、本音は「売って売って売りまくれ」だったからです。
そうはいっても、彼岸花の根っこは季節を通して簡単に見つかるわけではありませんし、京都の街中で彼岸花を見かけることは多くありません。お寺さんの彼岸花を掘り返したら絶対怒られますし、下手をしたら窃盗事件です。膝の水には著効がある彼岸花の根なのですが、こういう事情で簡単には手に入りませんし、これだけでは膝に水は溜まらないけど歩きにくいとか、関節が痛くて辛い、という訴えに対応できるわけでもなく、なにかいい方法はないかなぁ、とその店に出入りしていた他の漢方薬局の方と相談していました。そして、完成したのが、関節の炎症と痛みを取り去る天然物質MSMを主体に、関節の動きをよくするグルコサミン、コンドロイチンなどを配合した健康食品でした。おかげさまで、これは当時よく売れて、必ずリピートに繋がるので社長も私もハッピーだったことを思い出します。
その後、私はその職場を離れてプレマを興しましたが、その品は継続的に仕入れてプレマでも細々と販売を続けていました。ある日、その漢方薬局さんが倒産してしまったことを知り、それから一切入手できなくなってしまったのです。そんなことも完全に忘れていたころ、かつて私たちのオフィスがあったビルの大家さんが入れ替わり、「プレマさん、出て行ってください」と宣告されました。そんなこんなで今の会社と店がある京都の三条会商店街にご縁ができて、商店街で店をやることになりました。通販とは違い、店舗にお越しになるお客様の多くがご高齢で、薬屋サラリーマン時代と同じようなニーズがある場所だったのです。
そこで当時のメモをひっくり返し、コラーゲン、ヒアルロン酸を追加して、より快活に生活していただけるように作ったものが、現在の『元気☆快活の素』なのです。当初は『元気☆達者の素』という商品名でいまいち売れなかったのですが、名前を変えてからは元気に歩き続けたい、幅広い年齢層の皆さんにご愛用いただいています。お客様ご自身用に、また高齢のご両親のために、是非お試しください。