私が自然食の世界で仕事をして生きていくようになったきっかけが、このハチの作り出す抗菌物質・プロポリスでした。自然療法などまったく知らなかった私に、子育てを通じて多くのことを教えてくださったのが、以前名古屋にあった有限会社アルティの助産師・奥村さん(故人)と鍼灸師の佐野さんでした。
インドで長女を産むことに決めていた私たちは、陣痛が始まり、検診を受けていた病院に向かいましたが、さまざまな事情が重なり、院内で出産することができず、当時宿泊していた寄宿舎の部屋に戻るしかありませんでした。もし今の私が、いきなり医師も助産師もいない状況で出産に立ち会うことになったとしても、覚悟を決めて赤ちゃんを拾って迎えることができるでしょう。しかし、当時の私は知識も度胸もなく、誰かが立ち会ってくれなければ非常にまずいという状況でした。陣痛の間隔が短くなり、「もう誰か来て!」と祈っていたところ、ニトリル手袋を片手に、さっそうと現れたのが奥村さんと佐野さんだったのです。たくさんの人々が出産の無事を祈るなか、何事もなく長女が誕生しました。そこから、奥村さんと佐野さんに自然療法のいろはを教わる日々が始まったのです。
しばらくすると、長女には湿疹がたくさん出てきました。その理由について、奥村さんと佐野さんは「ノブオ君、これはお母さんの牛乳の飲みすぎが原因ね」と言いました。実際、インドのど田舎でベジタリアン生活をしていた私たちにとって、タンパク源やカルシウム源といえば牛乳や豆くらいしか思いつかず、「妊婦には牛乳をたっぷり飲ませないと」と思い込んでいたのです。知識がないとは恐ろしいもので、妊娠中期以降は1日400ccほどの牛乳を飲ませていたと思います。インドでは牛乳は「完全な食べ物」とされているため、私の牛乳信仰はいっそう強まりました。しかし結果は、皮膚がずるずるに剥け、かきむしる娘の姿に向き合う毎日。今なら、そんな無謀なことは決してしません。
お二人は「馬油にプロポリスを混ぜて塗るとどんどん良くなるわ。薬なんて塗ったらダメ、一生苦しむことになるから」と教えてくれました。その後の幼子のケアにおいて、このプロポリスはどれほど役立ったことでしょう。湿疹に塗るのはもちろん、風邪をひいたとき、ケガをしたとき、お腹を壊したときなど、ありとあらゆる場面で子育てを支えてくれたのが、このプロポリスでした。
出産から半年ほどして日本に帰国し、日本で手に入るプロポリスを探していたとき、前職である「薬を売らない薬屋」さんとの出合いがありました。その後、備長炭や木酢液などのナチュラル雑貨や自然食品の通販事業を立ち上げ、現在に至るまで、ミツバチと彼らが作り出すプロポリスが私を導いてくれたのだと思っています。
やがて私の知識と仕入れネットワークも広がり、良質で効果の高いブラジル産プロポリスをお求めやすく提供したいとの思いから、『らくなちゅらるプロポリス』を商品化しました。私にとって「プロポリス」という言葉は、単なるサプリメントを示す言葉ではなく、まさに人生を開いてくれた存在を象徴する神聖な言葉です。それは「プレマ(Prema)」というサンスクリット語と同じ重みを持つ言葉でもあります。
お客様のご自宅にいつもらくなちゅらるプロポリスがあり、いざというとき、どんな状況でもすぐに使えるよう備えていただければ、ミツバチたちがきっとあなたを導いてくれる。私はそう信じています。
