日常の食事が「祝宴化」しているといわれる現代。本来なら特別な日のご馳走が頻繁に食卓に並んでいます。脂っこいものや甘いもの、アルコールの摂取量に伴って、肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病が増えています。今回は「ハレとケ」の食事観から日常食の大切さについて考えてみましょう。
食の「祝宴化」が招く贅沢病
祝宴とは、結婚式や祭りなど特別な日に食べる豪華な「ハレ」の食事。昔は年に数回の楽しみでしたが、現代では外食やコンビニなどの普及で日常化しています。脂質や糖質を多く含む食事が続けば、体に負担がかかるのは当然です。特にこれからは、クリスマスや忘年会、お正月、新年会とお祝いシーズン。ご馳走やお酒の機会が増えるからこそ、一層気を付けたいですね。
歴史を振り返ると、食の偏りが病気を招いた代表例として「脚気」があります。江戸時代以降、白米中心の食生活が広まり、ビタミンB1不足による脚気が流行しました。庶民にとって白米が贅沢品だったころにはなかった病気。日常食の変化によって深刻な健康被害が拡大した事例の一つです。
1977年に米国上院で発表された「マクガバンレポート」は、食生活の変化が心臓病やがん、糖尿病などの慢性疾患の増加に直結していると指摘しました。特に動物性脂肪や精製食品の過剰摂取が問題視され、植物性食品中心の和食を推奨しました。皮肉なことに、現代日本では、動物性脂肪や精製食品の過剰摂取が増えてしまい、このレポートは日本人にとっても、日常食を見直すための警鐘になっています。
ハレとケの食事を楽しむ
ヒーリングフード実践法
和食は、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録され、世界的な注目を集めています。伝統的な和食は「一汁三菜」を基本とし、米、野菜、魚、豆類、海藻などを組み合わせ、栄養学的にもバランスの良い食事です。さらに味噌や漬物などの発酵食品は腸内環境を整え、免疫力を高める効果も期待できます。季節の食材を取り入れることは、陰陽のエネルギーバランスを整えやすくするため、日常の「ケ」の食事を支える理想形といえるでしょう。
ヒーリングフードでは、普段の「ケ」(日常)の食事をシンプルでバランス良く丁寧に整え、特別な日の「ハレ」の食事を楽しむメリハリを大切にすることを提唱しています。現代では「ハレ」が日常化し、一時的に気分が上っても、身体への負担が増しています。そこで心身の土台となる「ケ」の食事を丁寧に整えることで、祝宴の席でも、バランスを整える食べ方を実践するのがヒーリングフードです。例えばパーティでは「食べる順番」を意識します。野菜や海藻など食物繊維の多い料理を先に食べて血糖値の急上昇を防ぎ、満腹感を得ます。また、消化をサポートする酵素を多く含む生野菜や発酵食品をとりながら、揚げ物や動物性の料理は少し控えめにし、豆料理をより多く選ぶように割合に気を付けます。お酒を飲む場合は、水やお茶を合間に挟み、お味噌汁など汁ものをいただき、飲みすぎ防止とデトックスを促すように配慮します。
祝宴の翌日は「リセット食」を心がけましょう。朝は果物や味噌汁など消化をサポートするものを選び、昼は野菜たっぷりの煮物や蒸し料理で体を整えます。夜は軽めにして、胃腸を休ませます。水分をしっかり摂り、体を温めることで代謝も促されます。こうしたヒーリングフードの実践をベースにすれば、罪悪感なく祝宴のご褒美食を存分に味わい楽しみつつ、健康を守ることができます。
食は命をつなぐ営み。日常のシンプルな基本食と華やかな祝宴のメリハリをつけ、どちらも思いっきり楽しんで心身健康に人生を謳歌したいですね。
