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カンボジア地雷除去支援

江角泰 (えずみ たい)

NPO法人テラ・ルネッサンスのカンボジア事業担当者。
大学時代に、NGO地雷ゼロ宮崎のメンバーとして参加した「テラ・ルネッサンスのカンボジア・スタディツアー」が、テラルネッサンスとの出会い。
現在は、カンボジアにおける地雷問題に取り組む他、弊社が進めるラオス支援活動も担当中。

【Vol.32】できるだけ速く安心して生活できる大地を取り戻すために ~金属探知機の重要性パート2~ 

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 前回に引き続き、金属探知機の話です。2010年2月、ラオスで不発弾撤去を提携するMAGラオス事務所で、カントリー・プログラム・マネージャーのデイヴィッド氏にラオスでの不発弾撤去方法について質問しました。

 「不発弾撤去にはなぜ金属探知機が重要なのか?」「ラオスでの他の不発弾撤去方法はないのか?」。例えば、カンボジアでは、地雷撤去を実施するのに、大型のブッシュカッターといわれる灌木除去機が使われています。この機械は灌木を除去するだけでなく、対人地雷程度であれば爆発しても壊れることはありません。灌木除去機のほかには、2009年4月の時点で87匹の地雷・不発弾探知犬がカンボジアでの地雷撤去に大きな貢献をしています。つまり、こうした撤去方法がラオスでは取られていないのかどうか?誰もが単純に思うであろう質問をしてみたのです。

 デイヴィッド氏の答えは、ラオスではこうした2つの方法は使っていない、というものでした。灌木除去機やその他の大型の機械は威力の小さい対人地雷であれば問題ないが、火薬量の多い不発弾の爆発には耐えられないとのこと。ただでさえ高価な機械のうえにその修理や維持費も考慮すると、不発弾撤去活動費が非常に高額になるのです。

 さらにもうひとつ、大きな機械が使えない理由がラオスにはあるといいます。MAGカンボジアで、まだ内戦中から8年間活動していた経験があるというデイヴィッド氏は、テラ・ルネッサンスが活動する地雷汚染の最もひどいバッタンバン州を例に説明してくれました。バッタンバン州はカンボジア一の大穀倉地帯で、広大な水田が広がっているのですが、地平線が見えるほど平らな土地が続いています。こうした場所であれば、機械を移動させて活動することが可能です。しかしラオスは山岳地帯が国の大部分を占め、特に不発弾汚染のひどい地域はベトナムとの国境沿い。南部のホーチミンルートにはアンナン山脈があり、シエンクアン県を中心とした北東部は標高2000m級の山々も散らばる山岳地帯で、撤去する場所も急な山の斜面がほとんどです。こんなところでは、大きな機械はまず動けないのです。

 地雷や不発弾を撤去する際に欠かせない灌木除去。これもラオスでは、地元の貧困層の住民を雇って手作業での草刈が行われますが、それはブッシュカッターよりもコストが安く、また貧困層に仕事の対価を渡すことで彼らの生活のサポートにもなるからです。不発弾は地雷とは違ってよほど大きなショックを与えない限り、埋まっている上を踏んでも爆発する可能性はないことも、住民による手作業を行っている理由のひとつにあります。

 一方、不発弾探知犬に関しては、以前ラオスでも使用を検討していたそうです。しかし、実際に使用するに至らなかった理由はコスト面の問題でした。カンボジアでは、十分に訓練されたシェパードがスウェーデンから連れてこられて活躍していますが、現在はカンボジア国内で地雷探知犬を養成する施設もあり、カンボジアの犬も地雷探知犬として活躍できるようにトレーニングが進んでいます。その理由はもちろん、遠いヨーロッパから連れてきた犬はたいへん高価で、訓練されたもので1頭2万ドル(約210万円)以上、訓練前の子犬ですら約5000ドルもするからです。しかしながら、カンボジアの犬をトレーニングすればもっと安いコストでできるようになるでしょう。ラオスでも導入を検討したものの、不発弾探知犬と金属探知機との効率性を考慮すると、1台約6000ドルの金属探知機の方が安く、より効率的に撤去ができるという結論に達したとのことでした。

 結局、 MAGラオスが採用する不発弾撤去方法は、金属探知機を使った撤去だけということになります。皆様から頂いたご寄付で撤去活動を進めるにあたっても、金属探知機を使うことで、最も効率的かつ効果的に撤去できるのです。その重要な金属探知機が、現在、MAGラオスでは不足しています。様々な団体から少しずつ金属探知機を支援してもらっている状態ですが、まだ十分ではありません。

 2008年と2009年を比較すると、撤去チームの数や作業員の人数は変わっていません。しかしながら、2008年は全ての撤去チームが毎月活動していたのに対し、2009年は事情により数チームが活動を数カ月中止していたにも関わらず、金属探知機が少しずつ増えたおかげで、撤去面積は前年の1・75倍に増加したということをデイヴィッド氏は話してくれました。今は撤去作業員を増やすよりも、金属探知機を十分にそろえることが何よりも重要です。1台の金属探知機が、たくさんの人々の生活を守る大きな貢献をするのです。


江角泰(えずみ たい)

江角泰(えずみ たい)氏
NPO法人テラ・ルネッサンスのカンボジア事業担当者。
大学時代に、NGO地雷ゼロ宮崎のメンバーとして参加した「テラ・ルネッサンスのカンボジア・スタディツアー」が、テラルネッサンスとの出会い。
現在は、カンボジアにおける地雷問題に取り組む他、弊社が進めるラオス支援活動も担当中。

- カンボジア地雷除去支援 - 2010年4月発刊 Vol.32

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