COVID-19治療の最前線で奮闘する方々を応援すべく、プレマ株式会社が立ち上げたプロジェクト「10000食のナチュラル・ジェラートを医療の最前線へ」。ジェラートにこめた、弊社代表取締役の思いをさらに知っていただくために、ちょうど一年前「びんちょうたんコム」に掲載した中川信男のインタビューを、要約してお届けします。
ヴィーガン・ジェラート・マエストロ®でもある中川。合成乳化剤・合成安定剤・トランス油・合成着色料・合成香料・アンフェアな輸入キビ精白糖不使用で作られたジェラートは、イタリアジェラート協会SIGAの国際コンテストで3年連続入賞を果たした
「神の果実」との出会い
自然食屋がなぜジェラートなのか。大きなきっかけが「バオバブ」です。バオバブは、アフリカ大陸に多く分布する、数千年を生きる生命力の高い樹で、その果実は「神の果実」と呼ばれ、優れた効果を持ちます。私は昔からバオバブに注目しており、プレマでも2012年ころから取り扱いを始めました。
実は2016年に雑誌『veggy』経由で、プレマのバオバブパウダーがテレビで紹介されました。オンエア後に注文が殺到したために、追加で2000万円分の輸入を決めたのですが、バオバブが日本に届くまでにブームが終わってしまった。大量の在庫だけが残りました。
このとき輸入したのは、アフリカ産のバオバブをイタリアの製薬工場で加工したもの。イタリアではバオバブはハーブやプロポリスなどと同じ、日本人が考えるところの漢方のような位置づけで、薬理性のエビデンスがありました。価値あるスーパーフードや機能性のある素材を複合的、横断的に使って、最高においしくて体によいものを作りたい。そう考えて、社内ミーティングで話題にしたときに、あるスタッフが「ジェラートはどうですか?」と言ったんです。私自身はそれまでジェラートにまったく興味がなかったのですが、その言葉をきっかけに、いけるかもしれないと考えました。
早速ジェラートの製造機の会社と連絡をとり、イタリアで開かれた〝ジェラート大学〟で学びました。ジェラート作りでは、ミルク以外で加熱工程がないため、熱に弱い栄養素もそのまま残せることをそこで知りました。価値あるスーパーフードを活かすために最適な方法だったのです。何度かイタリアの講座に通い、レシピ設計の基本と応用を学びました。試行錯誤の末、京都オフィスのあるビルの一階に「プレマルシェ・ジェラテリア」がオープンします。
「本当においしい」が大切
価値ある素材をふんだんに詰め込んだプレマルシェのジェラートには、すべてにおいて機能性があります。バオバブの他にも、たとえば、プレマルシェのジェラートに多用するアガベイヌリンは、水溶性食物繊維を多く含み、糖質吸収を阻害する働きがあります。血糖値の急上昇と急降下を避けることで、食害を抑えることができるのです。
また与那国島の風化サンゴから作られる、唯一無二のサンゴミネラル。陸上で何万年も風にさらされた多孔質な状態で、カルシウムやミネラルを補給する以外にも、乳化を促進する効果があります。海中から取ったサンゴは熱殺菌しないと使えませんが、これは熱殺菌を必要としないサンゴ素材でもあります。
加えてプレマルシェのジェラートは、植物性素材だけでおいしいのに、後味がさっぱりしています。これは合成乳化剤を使っていないからこその食後感です。乳化剤というのはものすごく便利で、ほんの少し入れるだけで劇的になめらかな食感になります。だから、乳化剤を使用せずになめらかな味わいを出すことには、かなり苦労しました。
ただしこれらの要素と同じくらい大切なことが、「おいしい」ことです。一般的に、「ナチュラル」「ファンクショナル」「サステナブル」の言葉がつく食品は、基本的に味がうすめで、あまりおいしくない。「おいしい」と言われるものも、「自称おいしい」なんです。おいしいと感じるためには理屈がいる。これが自然食業界の限界でした。
それでも理屈はありながら、それを知らない人が食べてもおいしいことを証明したかった。だから、イタリアで開催されるジェラートの世界コンテストに出場したんです。大手菓子メーカーや有名菓子職人を含め、何百人も出場する大きなコンテストです。そこで、2年連続入賞を果たし(取材時)、客観的に「本当においしい」ことが証明された。これは絶対に譲れない軸でした。
誰もが笑顔になれる場所
もちろんプレマルシェのジェラートには、植物性素材だけで作ったヴィーガン・ジェラートのレシピが多くあります。一方でミルクなどの動物性素材を使ったレシピもあります。たとえばピスタチオのレシピでも、完全植物性のものと動物性素材を使ったものと2つ存在します。レシピは増えますが、多くの人に食べてもらうために、必要なことです。
たくさんの方に楽しんでいただく、自社でのモノづくりにあたっては、「誰もが笑顔になれる場所」を作りたいと考えました。ここには「Beyond food barrierR」という、プレマで商標を取った考え方が軸にあります。
プレマが手掛ける店では、ヴィーガンもベジタリアンも、そうでない人も、一緒に楽しめるメニューを用意しています。しかも植物性素材だけで十分においしいので、ヴィーガン、ベジタリアンでない人も、「こんなにおいしいんだったら、別に動物性素材がなくてもいいかな」となります。
ジェラートが「おいしい」という入口から私たちの仕事に関心を持ってもらえたら、今まで自然食品に興味がなかった人にも、その奥深さに感銘してもらえるかもしれない。それはその人の生き方に関わるかもしれない。おいしくないと、そういうことはできません。ジェラートを通じて、ぜひプレマのモノづくりに触れてみてください。