「小泉ちゃん、仔猫貰ってくれへん?」。
職場の上司から声をかけられたのは、父が定年を機に「犬を飼おうか」と言っていた矢先のことでした。
猫は散歩に行かなくていいし、上司も困っているし、これもご縁!ということで家族として迎えることになりました。
上司の家に行き、逃げ回る2匹の仔猫からどちらかを選ばねばならず、おとなしいブサイクな子のほうに決めました。
家に連れて帰ると、ペットを飼うのを反対していた母と叔母が、「ホンマに貰ってきたんか!?」と玄関まで走ってきました。
段ボールを開け、仔猫が顔を出した瞬間、「あら〜こんにちは〜猫ちゃん、かわいいねぇ〜」と二人とも秒殺。
仔猫は怖がって、いっしょに貰ってきたトイレの中に逃げこんで出てきません。
しばらくそっとしてあげようと、私はずっと廊下で待機していました。
だいぶ時間が経ったころ、仔猫がヒョロヒョロした足取りで、か細く「ニャ〜……」と鳴きながら私の足元に身体を擦り寄せてきたそのとき!!!
私の身体に電流が走り「私が一生守る!!」。
それは生まれて初めて私の父性が開花した瞬間でした(笑)。
それから子猫がトイレから出てくるまで三日三晩、廊下に布団を敷いて猫のトイレの横で寝ました。
時に子守唄を歌ってみたりして……(母性も開花 笑) 。
名前はマル吉にしました。
しばらくすると、マル吉は家の中の探検を始め、部屋のあらゆるものを破壊し始めました。
ドリームキャッチャーの羽根は引き抜かれ羽根なしになり、カーテンはボロボロ、和室の襖や障子は無残な状態に。
家族の手足は引っ掻きキズで傷だらけ。
おとなしいほうを貰ってきたはずなのに……。
しかしマル吉がやってきたことで、家族の会話や時間が増え、癒しの存在となりました。
母も叔母も私も猫柄のハンカチやかばん、お皿、家中に猫柄が増え、見事な猫オバさんになりました(プレマで初めて購入したものは「アポロシン招き猫ミニ」です)。
マル吉が家族になって1年が経ったころ、父が病気で入院し、わずか1ヶ月で亡くなり、家族のだれもがこんなに早く別れの時が来るとは思わず、大変辛い思いをしました。
でも癒しの存在のマル吉がいることで、家族は父とのお別れを乗り越えることができました。
あのとき、父がペットを飼おうと言っていなければ、マル吉はここにいません。
本当に感謝です。
そんなマル吉も今年で18歳。
叔母と大体同い年のおじいちゃんニャンコになりました。
叔母の介護ベッドで眠り、いつも叔母のそばにいます。
マルちゃん、叔母といっしょにいつまでも元気に長生きしてね!
プレマルシェオーガニクス
小泉 由紀(こいずみ ゆき)
プレマルェオーガニクス店舗担当。乙女座 O 型。趣味は鉱物コレクション。タロットは小学生、ペンジュラムは中学生から持っている。不思議系、マニアックなものが大好物。嫌いな食べ物はお肉。