4月に入社して間もないある日、自社サイト「びんちょうたんコム」の顧客リストに自分の名前を見つけました。初めてプレマを知ったのは、昨年の秋、プレマルシェ・ジェラテリアを訪れたときだと思い込んでいた私は、唖然としました。「一体いつ、なにを購入したのだろう?」。調べてみると2011年1月、「かえる印のナチュラルかとり線香」と「かえる印のハーブ・プロテクト」を購入していました。それを見た瞬間、私の記憶は一気に10年前に遡りました。私はなぜ真冬に蚊取り線香なんて注文したのでしょう?
当時、東京に住んでいた私は、ヨガの指導者養成トレーニングに参加するため、スリランカへ旅立つ準備をしていました。向こうは常夏ゆえ虫刺され対策は必須でしたが、冬に、しかも人体に害のない蚊取り線香を見つけるのは至難の業。ようやく買えたのが、かえる印シリーズだったのです。
そうして私は、スリランカ最南端の小さな村のバンガローで、かえる印のキャラクター〝かえるのジョン君〟とともに3週間を過ごしました。ドアも窓も隙間だらけで、洗面所やシャワーは建物の外。虫だけでなくヤモリも動物も出入り自由です。ベッドには蚊帳もあり、また蚊取り線香のおかげで虫よけはバッチリでしたが、部屋にある食べ物を狙ってやって来るリスとは、知恵比べの日々。ある日、部屋に入ったところで、引き出しの奥に隠していたビスケットをくわえて逃げようとするリスと出くわし、お互いにびっくり! 思わず笑ってしまったこともありました。
トレーニング終了後は、山奥の宿に滞在しました。広大な敷地には畑や滝もあり、建物はすべてオーナーと村人たちによるセルフビルド。電気はなく夜はろうそくの灯のもとで、野菜づくしの料理やミルクティーをいただきながら、そこで出会った人たちと語り合うのです。かくして数週間、私は心ゆくまで豊かな時間を過ごし、エネルギー満タンで帰国したのでした。
その2日後、東日本大震災が発生します。職場の床に段ボールを敷いて横になりながら、何が世界の現実なのかと混乱し、一睡もできなかったことをいまも鮮明に覚えています。
あれから10年。その間に経験したあらゆることが頭を駆け巡りました。私の名前は、10年後の私に見つけられるのを知っていたかのように、ずっとここで待っていたのかもしれません。この思わぬタイムカプセルからのメッセージに、不思議と力がわいてきました。
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内田 光香
(うちだ みか)
旅と本、ヴィーガン料理が好き。好奇心の赴くままに生きていたい、根っからの自由人。小学生の娘と初の京都暮らしを満喫中。