その習慣、大丈夫?
これを書いているのは6月ですが、夏を思わせる暑い日が続いています。なのに、道を歩いていて周囲を見回すと、皆さんがマスクをして歩いているのに驚きます。自転車に乗っているのに、一人で歩いているのに、なぜマスク? 暑いと普通に歩いていても消耗するのに、暑苦しく、そして息苦しくないんでしょうか?
それを人に伝えると、去年の夏もこうだったよ、と言われたりします。でも、どのような世代の人がどれくらいのリスクがある、という意味での世間知は今年のほうが高いと思うんです。明らかに熱中症のほうが死者数の多い年齢の子どもが、そろってマスクをして登校しているのを見ると、かえって心配になります。
同じ意味で心配になるのが妊婦さんです。妊婦さんにマスクを勧めるかどうか、西洋医学の先生と東洋医学の先生に、昨日うかがいました。疑問に思っているわたしが選んで質問する先生なので当然かもしれませんが、どちらの先生も、はっきりと、妊婦さんには勧めないとおっしゃいました。
その理由はたくさんあがりましたが、ここではお腹の子どもへの影響を一番にあげます。一般論としても、マスクを通した呼吸だと、マスクの中にこもっていた呼気も吸い込みますし、軽い酸欠状態になりがちだといわれます。一方、妊娠中は、お腹の子どものぶんも母親が酸素を取り込む必要があります。普段より深く息したいくらいなのに、息苦しいとどうなるでしょう。そうでなくても、妊婦にとって夏は暑いし、からだは重いし、しんどいものなのに、マスクの負荷で、お腹の子も軽い酸欠になっているかもしれません。すでにコロナの症状の出ている人と同じ密室内にいたら、マスクで飛沫を少しでも防ぐ意味もあるかと思いますが、習慣で常に装着してしまう場合、酸欠のリスクのほうが大きいと指摘されました。
また、マスクをしていると、鼻からとりこんだ外気により脳を冷やすという、暑い時期にぜひ力を借りたい人体の空調システムも生かせません。妊娠中はのぼせやすいので、ぜひ積極的にマスクを外してほしいと思います。
大きいおなかとマスク
妊娠でおなかが大きくなると、そっくり返った姿勢をとりがちなことも、マスクと相性の悪いポイントです。試しにやってみたらわかりますが、鼻で息がしづらいです。妊婦にありがちな姿勢は、腰痛だけでなく、口呼吸のもとでもあるんですね。さらにマスクと組み合わせると、まあ間違いなく口で息してるだろうと思います。
マスクで口呼吸になる弊害は、田中利尚先生がこの『らくなちゅらる通信』で詳細に触れてらっしゃいました。妊婦さん向けの歯科検診を行政が用意しているように、実際、妊娠中はいろんな理由で口の中の環境が悪くなりがち。口呼吸だと、口腔内の菌の素性も変わるそうで、虫歯も歯周病も増えている実感があると、多くの歯科の先生が臨床経験に基づいておっしゃいます。口の中に炎症があるほうが、ウイルスも寄生しやすいのになんてこと。
最後に付け加えると、産後ママもマスクは外したほうがいいです。口呼吸してたらおっぱいの質が悪くなりますよ、とまで聞きました。小さな子どもに顔を見せないと、発達に悪影響あると思いますし、外すのめんどくさいし、慣れちゃったし、に流されず、とにかく、積極的に外してください。