プレマルシェ・オルタナティブ・ダイナースタッフの上田です。私の苗字は上田と書いて「うえた」と読みます。出身の鳥取県ではオーソドックスな苗字だと思いますが、京都に引っ越してからは、必ず「うえだ」と呼ばれます。私は「うえだ」と呼ばれるたびに訂正していましたが、毎回言うのも面倒になって訂正しないことも増え、読み間違えられないような〝普通〟の苗字がよかったと何度も思いました。
思えば、私は〝普通〟であることに憧れがありました。私は高校生のときに不登校になり、全日制の高校から通信制の高校に転入しました。不登校になった当時は、まわりのみんなは毎日高校に通えるのに、なぜ私は普通のことができないのだろうと悩みました。しかし通っていた全日制高校のスクールカウンセラーの先生にお世話になり、通信制の高校に編入。大学進学を目指そうと思えるようになりました。
通信制の高校では週に1回の登校があり、それ以外の6日間は自由な時間だったため、飲食店でアルバイトを始めました。そこでは、いままで出会ったことのなかった人がたくさんいました。別の通信制の高校に通っている子、高校に行かずアルバイトだけで生活している子、3児のシングルマザーなど。全日制の進学校に通っていたときには似たような境遇、生活の人にしか会ったことがなかったため、いかに自分の見えていた普通の世界が狭かったかを痛感しました。
普通の意味合いは人によって違います。たしかに多数派、少数派というものはありますが、だからといって多数派の人が正しく、その意見を少数派に押し付けるのは違うと思います。私は全日制・通信制合わせて4年をかけて高校を卒業しました。3年間で高校を卒業する人が多数派だと思いますが、私は自分の選択や生き方が間違っていたとは思いません。
私が現在勤務しているプレマルシェ・オルタナティブ・ダイナーでは食物アレルギーがある方や食べるものにこだわりを持つ方が、たくさん来店してくださります。一方でヴィーガンという言葉を初めて聞くというお客様もいます。飲食店で、ヴィーガン料理もそうでない料理も楽しめるというのは、いまでも少数派。しかしプレマルシェ・オルタナティブ・ダイナーなら、皆さんが自分らしく、それぞれの〝普通〟の食事を楽しむことができます。これからもダイナーがより多くの人の普通の食事を網羅できるようなお店になればいいなと思います。
プレマルシェ・オルタナティブ・ダイナー
上田 琉菜(うえた るな)
鳥取県出身。現在は京都市内の大学に在学中。大学では心理学科を専攻。2018年からプレマルシェ・ピッツェリア(現プレマルシェ・オルタナティブ・ダイナー)でアルバイトとして勤務。趣味は舞台鑑賞。