酵素というと、ダイエットやファスティングに関連して酵素ドリンクなどをよく目にしますが、そもそも酵素とはどういうものなのでしょうか?
(北海道・ちっとも痩せられない40代)
A.生命活動の維持に必要不可欠なもの
答える人 プレマ株式会社 お客様コンサルティングセクション 岸江 治次
私たちは食事からエネルギーを得ますが、単に食べただけではエネルギーはできません。生きとし生ける者には必ず酵素があり、酵素が体内の化学反応をスムーズに進め、生命活動が順調で支障ないようにしています。たんぱく質や脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルといった五大栄養素をきちんと摂っていても、酵素がないと私たちは生きていけません。酵素は日々体内でつくられますが、一生のうちにできる量には限りがあります。酵素を使い果たしたときが老衰で亡くなるときです。
酵素はたんぱく質の一種で、消化酵素、代謝酵素、食物酵素があり、消化酵素と代謝酵素は体の中にあるため体内酵素(別名:潜在酵素)といわれます。消化酵素が食物をアミノ酸に消化分解し、代謝酵素がエネルギーをつくり、たんぱく質を再合成することで日常の呼吸や新陳代謝がおこなえています。食物酵素は食物から摂れる酵素です。
前述のように酵素の量には限りがあるため、食べ過ぎたり、肉や油など消化しにくいものを食べたりすると、消化酵素が多く使われて必然的に代謝が疎かになり、脂肪がどんどん溜まってしまうのですが、近年、食物酵素をうまく摂り入れると消化酵素を使う量が減り、その分代謝酵素が増えるということがわかってきました。これを活用したのがファスティングです。一定期間なるべくものを食べず、かつ消化に関しては酵素ドリンクを飲むなど食物酵素の力を借りて消化酵素の負担を減らし、代謝酵素を活躍させて余分な脂肪分を代謝させるというやり方で、一時期ブームにもなりました。
酵素は熱に弱く48度で失活するといわれ、食物酵素は生野菜や肉や刺身、卵など生の食材に多く含まれます。また、酵素の語源がギリシャ語でエンザイム(ザイム=酵母、エン=中にある)ということからもわかるとおり、微生物の発酵による発酵食品、みそ、納豆、漬物、ヨーグルトなどにも多く含まれます。
20代を過ぎると体内酵素は減少の一途を辿るため、普段から酵素を意識しつつ、食物酵素を上手に摂り入れて体内酵素を長持ちさせる必要があります。
まず、消化酵素の無駄な活動を減らすこと。たくさん食べるほど消化酵素が分解にとられるので、大食いはやめて腹八分目を意識しましょう。また、体にとって必要のない添加物や農薬など、本来自然な状態だと人の体に入ってこないようなものがあると排毒や新陳代謝に酵素のエネルギーがとられるので、極力入れないようにすること。ストレスも然りです。さらにビタミンとミネラルは補酵素といわれ酵素の働きを支えますが、白砂糖などの精製されたものはそれらが抜け落ちており、補酵素の働きを阻害してしまうので気を付けましょう。
酵素を多く含む発酵食品や生の野菜を積極的に摂るのももちろんいいですが、効率よく酵素を摂れる酵素食品が多く出ているので、ダイエット目的だけでなく普段の生活でも摂り入れるとよいです。酵素食品は植物を発酵させてつくられていますが、果物の果汁や甘みをつけて飲みやすくしたり、原液を薄めたような酵素ドリンクも出回っています。そういうものは甘みの余計なカロリーが体に入りかえって負担がかかるので、原材料をしっかり見てなるべく原液に近いものを摂るようにしてください。酵素の質を高め、酵素がきちんと働けるように心掛けましょう。