バースプランは妊娠前から
十月十日は思っている以上に短い、という話を先月書きました。なのに、とくに初めての妊娠時には、女性本人にお産の知識がない……。わたしこれ、おかしいと思うんです。どうして出産可能年齢の女性が、妊娠・出産の知識に欠けるんでしょうか。ほかで代替できないお産の面白さを知る機会がないから、少子化するんだと思いますね。
身近に相談できる人がいない場合、大抵の場合はネット検索して、自宅から近い産婦人科を選ぶだろうと思います。お産ができるところとできないところがある、ということすら、わたしは認識していませんでした。
自然分娩に特色のある産婦人科が近所にあればラッキーなのですけど、そういう病院は大変数が少ないです。わたしの場合は、隣駅の「自然分娩」できる産婦人科に行きました。産褥入院中の①お祝い膳がフレンチで、ホテルのようなお食事でした。②新生児が並んでいるガラスウインドーがありました。産後しばらく赤ちゃんはそこで過ごすそうです。全体に母の快適さを追求しているとの触れ込みでした。
何回目かの妊婦検診のときに、羊水検査の説明を受けました。そちらの病院では、多くの人が羊水検査を受けるとのことでした。医師から赤ちゃんの顔写真を複数みせられ、どの子がダウン症だと思いますか? と質問されました。回答に窮していると、みんなダウン症なんです! と説明が始まりました。ダウン症になる確率と、針を刺して羊水をとることで流産する確率の比較表を出し、わたしの年齢だとダウン症になる確率のほうが高いから、とお勧めされたわけですが、ダウン症だと診断された場合はどうなっていたんでしょうか? ちなみにいまなら非侵襲的な新型出生前診断を薦められるだろうと予想します。新型出生前診断では確定しきれないところを、羊水検査でフォローするのが一般的です。
最近その産院の名前を聞いたので久しぶりにHPを見たところ、目立つところに無痛分娩の案内ができていました。60%が無痛(和痛)分娩だそうです。以前のような自然分娩の説明はありませんでした。帝王切開や無痛分娩が増えているいまが反映されていますね。
効率よく絆を結ぶ
その後たまたま、助産院という存在を聞き知ったわたしは、転院し、女性と赤ちゃんのQ O Lが高いお産について知ることになりました。その観点からいうと、上にある①はおっぱいによくないです。②は母子ともに辛いです。母子同室といいながら、赤ちゃんは同室にあるコットのセンサーの上で寝ているような病院も多いですが、添い寝のほうが、母子ともに楽です。産後の赤ちゃんはコンコンと眠っているので一緒に休み、一番本能に助けられる産後すぐに側にいて絆を結ぶほうが、引き続く新生児のお世話に早く慣れます。
助産院で知り合った同じく初産の人が、大学の授業で助産院出産のビデオを見て以来、ずっと助産院で産みたかった、と話してくれました。そういう人は少数です。ご近所さんでなければ、2回目以降に来院する人が多く、わたしは初産から助産院なんてラッキーだね、とよく言われました。
わたしがこういうことを書くのは、医療介入も経験したからです。最初に恵まれたぶん、Q O Lの落差がとても細部まで言語化できています。もちろん医療介入に感謝するお産も多いです。でもまずは理想を知ったほうがいいはず。自然なほうが楽ですよ!