断食がダイエットだけでなく健康にもいいと聞きます。3食きちんと食べたほうが健康的に過ごせる気がしますが、断食は健康にいいのでしょうか？（健康診断で血圧が気になり出した50代主婦）

答える人  プレマ株式会社　お客様コンサルティングセクション　岸江 治次

現代は、食べ過ぎこそ不調の元

少し前に「プチ断食」が若い女性の間でダイエット手法として流行りました。断食やファスティングという言葉も広く知られるようになっていますが、断食には非常に長い歴史があり、西洋医学で治療が難しい病気を断食によって改善することを目的とする断食道場も存在します。

結論からいうと、断食は心身の健康を保つのに非常に有効で、さまざまな不調を取り除く効果があります。身体は消化や代謝に多くのエネルギーを使い、過剰な食事が老化を促進し、肥満や心臓病などの原因になることが研究でわかってきました。そして最近では「健康のためになにを食べるか」から「健康のためになにも食べない」、いわゆる「空腹健康法」として食事を控えることの健康効果が注目されています。

現代では、体調が悪くて食欲がないときでも栄養を摂らないと体調を崩す、健康に良くないといわれるため、1日3食を続けている人が多いです。しかし、不調のときは無理して食べる必要はなく、極端な話をすると3日くらい食べなくても大丈夫です。野生動物は体調が悪いときにはなにも食べません。エネルギーを食物の消化吸収に使わず自らを癒すために使うことで、身体の調子を整えることができると本能でわかっているのです。断食の最大の効果は自然治癒力を高めることです。断食をすると消化吸収といった基礎代謝にエネルギーが使われないため、その分自然治癒力が向上し、全身の細胞が元気になり、さまざまな不調の改善が期待できます。

断食の健康効果はたくさん挙げられますが、なかでも注目されているのは長寿遺伝子（サーチュイン遺伝子）の活性化を促すこと。長寿遺伝子はある程度空腹でないと働かないため、断食が非常に有効です。もうひとつは免疫力の向上です。断食をすると、身体が栄養が入ってこないことを察知し、細胞のタンパク質などを消化し分解してエネルギーに変えるという作用が起こります。このとき、癌や腫瘍など体内で必要のない細胞から分解されることで免疫細胞が元気になり、排毒効果によって慢性的な病気の改善も期待できます。ほかにも、病気になりにくい、疲れにくくなる、良質な睡眠、肌の若返り、頭がスッキリして認知症予防になる、気持ちが前向きになる、不妊、ダイエットなどにも効果があります。

実は、私たちは毎日睡眠中に自然とプチ断食をしています。それによって身体をコントロールしているのですが、それでも調子が悪いという方はあえて断食をしてみるか、腹八分目を意識して食事をするとよいです。断食してなにも食べないのもいいですが、食べる量を減らすのも内臓を休めることができて非常に効果的です。最近では、朝食を抜いたり1日1食にしたりすることで体のコントロールがしやすくなったという人も増えており、食事の回数を減らすと断食の健康効果が得られやすいです。ただし、病気の治療を目的として長期間断食をする場合は自己流でやると非常に危険です。確かな指導者とともにやるようにしてください。

なにより大事なのは、不調のときは無理をして食べる必要はないということ。このことを念頭において、自分の体調と向き合いながら断食や腹八分目を実践すると健康的に過ごせますよ。