今年の秋は例年よりも早い時期からインフルエンザが流行し始めたようです。原因として考えられるのは、夏の気温が高すぎたことと長く雨が降り続いたことによるものだと、感染症の専門家が語っておられました。
あれ? いつもは、気温が下がり空気が乾燥することでインフルエンザウイルスが活発になるって言ってなかったっけ? 加湿器って必要ないの? 暑いのか寒いのか、どっちなの? これまでに聞かされてきたこととは真反対のことを言われていて、なんとも不思議な気持ちになりました。
私の邪推ですが、もしかしたら本当のところはわからないのではないでしょうか。だけども、専門家という立場で意見を求められると、きっと「わからない」とは言えないんだろうなと思います。こんなことでは世の中から正直者がいなくなってしまいそうで、そのほうが怖いと感じます。
近くに求める
「より便利になったが、時間は前よりも少なくなっている。知識は増えたけれど、判断することは少なくなっている。多くの専門家はいるけれど、問題は増え続けている。長生きをするようになったというのに、いまを永らく生きていない。月まで行って帰ってこれるようになったというのに、近所同士の争いは絶えない」。ある芸人さんがお弟子さんへ宛てた最後の手紙に書かれていたそうです。そして、「忘れないでいてください、すぐそばにいる人にやさしい言葉をかけてあげることを。なぜなら、いずれあなたのもとを去っていくのですから。忘れないでいてください、すぐそばにいる人に少しのユーモアと笑いを。なぜならこれが心にもてる唯一の宝だし、これをするために一円もかかりません」。そう締めくくられています。
私たちは、目の前にあることに気づかずに、ないものねだりで遠いところのものを求めてしまいがちです。だけど、遠いところからやってくる情報は、私たちを不安にさせたり怖がらせてしまうものが多いようにも思えます。そこから安心感を得るために、またほかのなにかを求めてしまうこともありそうです。だとしたら、私たちが心掛けるべきは、近くにいる人が安心できるような言葉をかけてあげることではないでしょうか。
インフルエンザに限らず、あらゆる病気に共通する予防法は、自分の免疫力を高めることです。そのために、食べ物に気をつけ、暴飲暴食を避ける。適度に運動し、しっかりと休息・睡眠を取る。暑くても寒くても、湿気があっても乾燥していても、関係ありません。遠くから届く情報のせいで不安で震えているなら、安心できる言葉を伝えて、それで笑うことができたら元気でいられそうです。なにも特別なものは必要ありません。
いま、目の前にあるもので十分なのです。すぐそばにあるもので足りていると気づくこと。それが「足るを知る」ということでしょう。いま、そこにあるものに気づかなくなってしまうのが、本当は怖いことかもしれません。
いまという感動
禅の言葉に、「看花老不死」とあります。花を愛でている人というのは自分が老いることを知らない、といったところでしょう。年齢を重ねていくと感動することが少なくなっていくといわれます。逆にいえば、自分からいろんなものを見に出かけて、心がときめいていれば老いることはない。感動することを忘れなければ、年齢を意識することもないのでしょう。感動するのに、お金はかかりません。
いま、目の前に咲いている花は、明日には散ってしまうかもしれません。だからこそ、いまという時間を大切にする。いまを生きることは、幸せに生きていくための本質かもしれません。
