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カンボジア地雷除去支援

江角泰 (えずみ たい)

NPO法人テラ・ルネッサンスのカンボジア事業担当者。
大学時代に、NGO地雷ゼロ宮崎のメンバーとして参加した「テラ・ルネッサンスのカンボジア・スタディツアー」が、テラルネッサンスとの出会い。
現在は、カンボジアにおける地雷問題に取り組む他、弊社が進めるラオス支援活動も担当中。

【Vol.27】子どもたちの『夢』から -どんな社会を子どもたちに残しますか?-

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 テラ・ルネッサンスが村落開発支援を実施しているカンボジア、バッタンバン州オッチョンボック村で、最近村の若い世代の人たちと話をする機会がありました。オッチョンボック村は、テラ・ルネッサンスが提携するmagという地雷撤去団体が、2008年7月から9か月で115個以上の地雷を撤去した村です。こうした村に住む若者が何を考えているのか、とても興味のあるところでした。今回は、この村に住む若者のインタビューを紹介します。

 名前は、レーン・ソック・ニア、12歳の女の子です。現在小学3年生で、両親の農作業の仕事も手伝っています。12歳でなぜ小学校3年生なのかは、想像してほしいと思います。この村では、多くの貧困家庭の子どもたちが学校に通えていませんでした。今はテラ・ルネッサンスの支援で、貧困家庭の子どもたちも就学適齢になると、小学校に通えるようにはなりました。ただし教育環境は決してよいとはいえず、教室の数も十分ではありません。農作業を手伝うために、一度は通いだした学校をやめる子どもたちもたくさんいます。彼女の家も決して裕福とはいえず、農作業を手伝いながら勉強しているのです。

 ただ彼女の夢を聞いて驚きました。彼女の夢は地雷撤去作業員になること。顔を見ると真剣そのものです。どうして地雷撤去作業員になりたいのかと聞くと、『村人たちが地雷で怪我をしないよう、この村の地雷をすべて取り除きたいから』と答えてくれました。それでも腑に落ちなかった私は、もう少し話を聞いてみることにしました。なぜ腑に落ちなかったかというと、いくら地雷が村にあるからとはいえ、大半の人は地雷が危険だと知っていて、男性ならともかく女性は触りたいとも思わないのが普通だからです。彼女は単に、地雷の危険性を知らないだけなのか…、あるいは村人を守りたいという強い動機を起こさせるような、何か強烈な体験をしているのだろうかと思ったのです。

 まず彼女が『地雷』そのものを知っているのかどうかを確認するために、『今までに地雷を見たことがありますか?』と質問しました。彼女は、2、3個の地雷を隣人の畑で見ていました。小さな地雷と大きな地雷がありましたが、地雷のタイプはわかりません。幸運なことに、彼女の畑には地雷はありませんでした。昨年から今年にかけてmagはこの村の地雷撤去を行いましたが、まだ地雷が残っている畑もあります。彼女はmagが村の畑に残っている地雷の撤去を続けてほしいと考えています。

 次は、『周りに誰か、地雷事故に遭った人がいますか?』という質問。もし誰か身近な人が事故に遭っていれば、地雷撤去作業員になりたい動機の1つになるだろうと思ったのです。ただ事前の情報で、彼女の家族には地雷被害者がいないことは分かっていました。彼女は地雷被害に遭ったひとりの男の子を知っていました。名前は“トゥン”、彼女のクラスメートです。トゥン君は2年前の2007年11歳の時に、2本の指を地雷事故でなくしました。隣村の森で野生の芋を掘っているときに地雷が爆発したといいます。ちなみに彼のお兄ちゃんも、別の場所で事故に遭った被害者でした。兄弟それぞれが、別々に地雷事故に遭うのも珍しいことですが、それだけ地雷が埋められていて危険な状況だったのです。

 これで彼女の動機のもとになった体験がおおよそ分りました。それでも疑問だったのは、『地雷が怖くないのか』ということ。彼女自身、地雷はそれほど怖くないといいます。まだ爆発していない地雷は怖いけれど、すでに信管を取り除いたものを触るのは怖くないそうです。『地雷撤去作業員になるために、一生懸命勉強して地雷撤去の技術を習得したい。作業員になりたいのは、良い給料がもらえ、自分自身や家族を助けることにもなるからです』そう答える彼女からは、すごい信念と意思を感じました。彼女はこの日も、トウモロコシの収穫の手伝いから帰ってきたところでした。

 この村では他の子どもたちにもインタビューをしましたが、村を助けるために医者になりたい、学校の先生になりたいなど、本当に素晴らしい夢を持った子どもたちがたくさんいました。村に地雷があったり、村の学校は中学校までしかなかったり、ぼろぼろの校舎で勉強していたり、家計を助けるために途中で進学をあきらめなければならなかったりと、子どもたちが夢を実現するためには本当に困難な環境であるとしかいえません。それでも彼らの純粋で真剣な『目』を見つめていると、私たち大人がやらなければいけないことがたくさん見えてきます。私自身、子どもたちへのインタビューを通して、どんな地球を次世代に残すのか、どんな社会や環境を自分の子どもに残すのか、考えさせられました。生まれてくる子どもたちは残念ながら、自分が生まれる場所や環境を選ぶことはできません。どんな環境を次の子どもたちに残すのかは、今生きている私たちにしか決めることができないのです。あなたの子どもや孫が住む世界が、地雷のある社会なのか、地雷のない社会なのか、あなたならどちらを選択しますか?

江角泰(えずみ たい)

江角泰(えずみ たい)氏
NPO法人テラ・ルネッサンスのカンボジア事業担当者。
大学時代に、NGO地雷ゼロ宮崎のメンバーとして参加した「テラ・ルネッサンスのカンボジア・スタディツアー」が、テラルネッサンスとの出会い。
現在は、カンボジアにおける地雷問題に取り組む他、弊社が進めるラオス支援活動も担当中。

- カンボジア地雷除去支援 - 2009年11月発刊 Vol.27

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