寒い冬がやってきました。
体を温めるのに鍋や汁物はうれしいですよね。
イタリアで冬ならではの温かいメニューといえば「ミネストローネ」。
野菜や豆をふんだんに入れた、汁よりも具が多い食べるスープです。
イタリアの家庭料理で、その家ごとの味がある個性豊かな料理です。
先日、イタリアでオリーブ収穫時に風邪をひいてしまい、滞在先でミネストローネを作ってもらいました。
具だくさんでおいしそうなものでしたが、一口飲んだら「あら、『スープの素』の味が」。
久しぶりに古い友人のサクセスストーリーを思い出してしまいました。
「スープの素」を広めた友人
その友人は現在74才で少し前に現役を引退したパワフルな男性です。
私がイタリアに住んでいたときに知り合い、今でも交流があります。
そんな彼から20年ほど前に聞いた話です。
彼は生まれてすぐお母さんが亡くなり、お父さんは戦争に行き、叔父さん夫婦に育てられたそうです。
叔父さんは仕立て屋で、その手伝いをしていたらしく、決して恵まれた生い立ちではなかったそうです。
その後、叔父さんの家を飛び出し、ゴムひもを売る行商を10代で始め、それが上手くいき、次は女性の下着販売に鞍替え、それも上手くいきました。
その後、今でこそ多国籍企業となっていますが、当時は新興企業だった「スープの素」の会社の営業マンになります。
天性の営業マンだった彼はそれまで何を売っても売れに売れていたので、普及していないスープの素の販売にも果敢にチャレンジしたそうです。
しかし、オリーブオイルと塩だけで調理するのが基本のイタリア料理。
スープの素なんてばかばかしいとまったく相手にされなかったそうです。
彼は自分の暗い生い立ちを含め、面白おかしく話すのですが、その話を聞いたのがちょうど私がオリーブオイルの販売を始めたときで、笑いながらも食い入るように聞いたものです。
どうやってスープの素をイタリアの料理上手な主婦に理解してもらったのか、これは私が日本に輸入し販売を始めたオリーブオイルと重なり、非常に参考になりました。
彼は今まで誰もやったことのない、試食会を考えました。
実際に食べてもらうことで、簡単に、しかも短時間で旨みのあるミネストローネができると喜ばれたそうです。
そこから口コミで商品がどんどん広がり、地域のトップセールスマンとなっていきます。
彼はそれにとどまらず、レンタカー会社の支店長、最後はガソリンスタンド関連の会社社長になります。
素材の旨みで作るスープ
彼の貢献もあり、イタリアの多くの家庭でスープの素を使うようになり、今では日本でも普及しています。
このスープの素は、時間のないときは便利ですが、化学調味料が含まれ野菜の味が全部消されてしまいます。
今回紹介する方法で、スープの素に頼らず、ぜひ素材そのものの旨みだけでスープを作ってみてください!
オリーブオイルが野菜の味を引き立ててくれます。
まず、お好きな冬野菜を薄く銀杏切りし、オリーブオイルと塩だけでよく炒めます。
旨みが出たらあらかじめ煮た豆や水煮を加え、具材が柔らかくなるまで煮るだけ。
それほど手間はかかりません。
私は青菜をたっぷり入れるのが大好きです。
旨みの濃いトマトの水煮を入れれば、さらにおいしいです。
カリカリに焼いたパンににんにくを擦り込み、砕いてスープの上にのせて、スープを吸わせて食べたら幸せ感がいっぱいに広がります。