ランニングシューズを履くと、心も足もとても軽やかだ。地面をぽんぽんっと蹴る感覚が嬉しくて、歩いている時間はごくわずか。次から次に出てくる足を止められなくて、すぐに走り出してしまう。
運動靴でもランニングシューズでも、格好さえ気にしなければ通勤のときだってお出かけのときだって楽な履物を選ぶけれど、おしゃれでいたいのが女心というもの。
だからいつもは、少し歩きづらいなぁと思っても、目をつぶってかかとの高い靴を履いている。でも正直、つま先立ちをしたまま歩いているようなものだから、疲れも溜まるし、足元ばかり気になってしまう。
そんな毎日窮屈な思いをしている足を、ぺったんこ、クッション性ありのランニングシューズで自由にしてあげると、体全体に喜びが満ちてくる。かかとからつま先への流れるような体重移動、一歩一歩力強く地面を踏みしめる感覚、周りの景色を心の底から楽しみ、風を感じる。すべてが新鮮で気持ちがいい。
最近スポーツに凝っているのだが、なかでもお気に入りなのがトレイルランニング。山の中を駆け抜けるトレイルランは、草や落ち葉、土、岩などの上を行き、大地とのふれあいを大いに感じさせてくれる。踏みしめた大地から、足を伝って「あなたとわたしは一体ですよ」「大丈夫、生きていますよ」という声が聞こえてくる。
― 大地を踏みしめる ―
どうやら、このことが私にとっては大事なようだ。これからは週末以外でも、おしゃれかどうかはさておき、ぺったんこの楽ちんランニングシューズで、大地とつながり、イキイキと輝ける時間を増やして生きていこう。
宮崎 美里