現代といっても幅が広いので20世紀以降を概観してみます。しかし、突然20世紀と19世紀の間に線が引かれているわけではありません。
エジソンが白熱灯を発明し、送電を開始した年は1882年といわれています。一方、ロシアでマダム・ブラヴァツキーが現代オカルトの啓発本『シークレット・ドクトリン』を出版した年は1889年でした。
19世紀の最後のほうで人々は新しい考え方を受け入れ、世の中は大きく動き始めました。
とくに電気は目に見えないエネルギーです。その電気がさまざまな仕事をする場面を見た人々は、一般人でなくても電気の影響を考え始めたのでした。
アメリカ人医師アルバート・エイブラムスは1882年にハイデルベルグ大学で医学博士号を得、1893年からクーパー医科大学の病理学教授となりました。彼は診察のときに奇妙な現象を発見しました。打診をしているときに患者の向かう方角により音が変わるのです。彼はこの現象が電気によるものだ、と考えたのです。そして電子こそがすべての生命の基本要素であると主張しました。この現象を(ERA:エイブラムスの電子反応)と名付け、さまざまな機器を考案しました。
これらの装置が後年、ラジオニクスと呼ばれる分野に発展します。
一方、マダム・ブラヴァツキーによるオカルトの世界も電気の影響を大きく受けました。従来、魔術は伝承の動作を真似るだけだったものが「生命エネルギー」の流れを考えるようになったのです。
他にも同時代に独自にエネルギーを発見した人がいます。ヴィルヘルム・ライヒというオーストリア人心理学者は生命体(organism)とオーガズム(orgasm)をあわせたオルゴンエネルギーという概念を作りました。そのエネルギーが人の病気を治すと主張したのです。あいにく主張した場がアメリカであったため、アメリカ食品医薬品局(FDA)は詐欺罪で彼を訴え、彼は入獄し著作は焼却処分となりました。
前回の記事にも記した波動について古代の考え方も現代扱われる考え方も、同じものをさまざまな方法で発見し、発見者は金の鉱脈を掘り当てたと考えたようです。発見者ごとに、プラーナ、気、放射エネルギー、ゼロポイントエネルギー、気、オルゴン、エロプティックエネルギーなどさまざまな名付けがなされています。
ここまでは主に20世紀までの話です。残念ながら日本のさまざまな著作物は、波動の研究は20世紀で終わったかのような書き方がなされていますが、事情はまったく異なります。
SE-5という波動分析機と日本では呼ばれている機器があります。しかし製作者達は「IDF(Intrinsic Data Field)分析機」だと主張します。IDFの概念は難しいのですが、簡単にいえば「すべての物質が現象化する前にもつ場のエネルギー」とでもいえばいいのでしょうか。単なる生体エネルギー分析よりも抽象度があがっています。そのためラジオニクス装置につきものであった、たくさんのダイヤルがSE-5ではなくなりました。
他にも電子工学の専門家であったマルコム・ラエはラジオニクスとホメオパシーの両方を学びました。彼はラジオニクス装置からホメオパシーを作り出すことに成功します。これは伝説でもなんでもなくSULISという会社から改良された装置が販売されています。ちなみ私がSULISから機器を輸入したころはすべての文書は英語でしたが、最近は日本人の客が多いのでしょう、日本語の取扱説明書がつきます。ホメオパシーを自分で作る、とくに高希釈度のホメオパシーを作るためには必須の機器です。
次回は少し話がはずれますが、知られざるホメオパシーを作る側の話を書きたいと思います。