スピリチュアルの世界で頻繁に出てくる光。光は物理的には高い周波数の電磁波です。ご存じのように、電波、赤外線、可視光線、紫外線とだんだん周波数が高くなり、さらに上はX線、ガンマ線となります。
これらすべての光は不思議な性質をもっています。代表的な不思議な性質は「光の速度は常に一定である」こと。これこそが100年前にアインシュタインが提唱し、相対性理論の基礎となる光の性質です。
しばしば光は秒速30万キロメートル、1秒間に地球を7周り半もする、ということは知られています。しかし、光の速度が観測者や光源の動きに関係なく常に秒速30万キロメートルである、ということは常識では理解が難しいことです。
私たちはしばしば次のような体験をします。電車に乗ったとしましょう。窓から外を見ていると電車は加速し、時速50キロメートルくらいになったとします。ちょうどそのとき、反対向きの電車が時速50キロメートルでやってきたならば、移動する電車に乗った私たちからは、反対の電車は時速100キロメートルに見えます。
ところが光は違います。こちらから電車で出発し、反対方向からも電車を走らせ、そこから光をこちらに発射するとします。その光の速度を測定しても秒速30万キロメートルなのです。電車の速度は光に加算されることはありません。この一般常識と光の性質の違いが理解されず、相対性理論は長年、誤解を受けてきました。
どうやって証明したのか? 証明方法にはなんと私たちの乗り物である地球が使われました。太陽が昇って沈むことでわかるように、地球は自転しています。赤道あたりが最高速で、時速1674キロメートルにもなります。このあたりで光を赤道に沿った方向(東西方向)に放ち、鏡で反射して戻ってくるまでの時間を測ります。次に光を南北方向に同じ距離だけ放ち、鏡で反射して戻ってくるまでの時間を測ります。測定は何度となく、いろいろな場所、人によっておこなわれていますが、差を見出すことはできないのです。この実験を最初にやった人を記念して「マイケルソン・モーリーの実験」といいます。
この「光の速度が一定」であることを利用して思考実験をします。今、私たちは地球の上にいて、ほぼ光の速度で飛んでいる宇宙船を見ているとします。その宇宙船の中で光を発するとどう見えるでしょうか? 私たちから見れば、宇宙船の中での光はとても「遅く」見えるはずです。なぜならば宇宙船はほぼ光の速度で飛んでいるという前提で、光の速度は一定なのですから。
光が秒速30万キロメートルで移動する現象を1秒と定義するならば、宇宙船の中の時間は、私たちから見て非常にゆっくり進んでいるように見えることになります。これは詭弁のように聞こえるかもしれませんが現実です。そして、すでに応用されています。
位置を特定するために使っているGPSは、地球の周りを回る複数の衛星を使います。これらは地上から見て時速約14000キロメートルで高速周回しています。このGPS衛星で経過する時間は、地上よりもごくわずかに遅くなります。これは高速移動と重力差という相対性理論の影響によるもので、この時間のズレを補正しないと、正確な位置情報に大きな誤差が生じます。
この事実から大事なことがわかります。時間はひとつではないのです。私たちは時計とカレンダーを使っているから時間が一本の線のように見えていますが、時間とは少なくとも移動によりいくつも生じます。
スピリチュアルで光は神聖なものとされますが、その実態をアインシュタインが発見してから100年以上経ちました。しかし未だに世界の人が光について常識がほとんど発展しないのは興味深いことだと思います。
