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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

予測不能

投稿日:

約20年前のこと。長女がインドで生まれました。偶然にもお世話になった、助産師と鍼灸師の女性お二人から、当時真顔で言われたことがあります。「信男君、とんでもないことってあるのよ。たとえば100万円あったら、どうしても叶えたかった夢が叶うとするでしょう?その夢が、今この世界が必要としていることだと神様も共感できることだとしたら、いきなり口座に必要な金額が、誰か知らない人から振り込まれることもあるのよ。そんな話、私たちいっぱい知っているから。信男君にもそういうときがきたら、きっとそうなるから」。

今でこそ、クラウドファンディングだとか、願えば叶うだとか、そんな仕組みや書物がたくさんあって、そのうえちょっとした貢献ブーム、スピリチュアルブームですから「確かに」と思う人も多いでしょう。しかしその話を聞いていた私には特段の夢はなく、さらに無職。「そんな間違ったお金が振り込まれたら、そのまま受け取ったらまずいだろう」なんてことを思ったのを思い出します。

それから20年。私の口座には、宛先を間違った振込は1円もなく、間違って送金されてきたお金は滞りなく、銀行に連絡をとってお返ししてきました。信じていないからなのか、望んでいないからなのかはわかりませんが、そういう「棚からぼた餅」には遭遇しませんでした。あぶく銭は一切追わず、毎日、一生懸命働くことがいちばん良いことだと思い知ったのです。

これで、私のごく普通な人生の話は終わり……なはずはないですよね。

確かに、私の口座には1円の過入金はなく、トイレ掃除をしたからといって、臨時収入もありません。お金の世界はそういうもので、願えば叶う、というような単純なものではないことがよくわかりました。しかし、私のツキはここではなく、全く別の場所にあったのです。

あなたなしには今の自分はない

考えてもみてください。ジェラテリアを開業して、多くのお客様がやってきて「イタリアでジェラート巡りをしたどの味よりもおいしい」などと昨年11月から勉強し始めたばかりのシロウトにあまりある言葉をたくさんいただきました。「ヴィーガンジェラートを日本で活気づけられるのは、中川さんのほか知りません。精一杯協力します」「このジェラートで健康になりました」など涙なしには語れない話もたくさんいただきます。

そういえば、17年前、プレマ株式会社の前身であるプレマ事務所をスタートしたときもそうでした。インドから帰ってきてタクシーの運転手を経て、高額商品を売る前職に疲れてしまい、備長炭を売り始めたときにも、同じようなことを言われました。そして、思うのです。

「あなた(プレマ)なしでは、今の自分はありませんでした」と、お話しいただくとき、私は存在の全てをかけて、その人がより人生を全うできるようにと祈ります。正直にいえば、私が祈ったところで何が起きるわけでもありません。ただ、いきなり振り込まれる100万円よりも、もっと価値あるものが、この世界にはごろごろ転がっているのです。

「今の自分はありませんでした」と言われるほどの原因が何なのかは、お客様一人ひとりにとって全く違う体験です。ただ、私が自信をもっていえることは、お客様にとってプレマとの経験と交流すべてが、最適であり、よりよいものであることだけを考えているということです。実際に品を届けるのはヤマト運輸のドライバーさんですし、課金をするのは業者さん、レジを打つのはプレマの誰かかもしれません。私たちの手を離れた瞬間に、それはお客様のうちにあり、厳密にいえば、私たちのコントロールを離れます。スタッフの対応がふさわしくないことも多々あることも知っています。いろいろな条件で、想定外のことが起き続け、それに右往左往することもあります。私たちは未来を予測しようとし布石を敷こうとします。たとえば死においても終活と言う言葉が生まれたように、できるだけ衝撃なく、スムースにそれが行われるように、私たち日本人は心を砕いてきました。

私たちが財布を拾えば必ず交番に持っていき携帯を拾えば持ち主を探す一方で、途上国に行けば「神様からの恵みだ」といって、めどが立たなかった今夜の夕食に変わるのかもしれません。

口座にお金が振り込まれること、棚ぼたを期待することは間違っていません。次の食事に事欠く人にとっては、それはほんとうに天の恵みです。恵まれた日本人の価値観を一方的に素晴らしいもので、絶対的に正しいと思うのは少し早いのです。その経験が、受け手において何を意味するかに正解はなく、この方法がベストであるなど思い込みに過ぎないのです。国境を越えれば法律が違うように、私たちは常識的であり、予測可能であることを追い求め、そしてそうならないことを悔いて心を荒げるのです。

受け手にとっての価値

そこまで含めて、誤解を恐れず申し上げましょう。私たちのお届けする品、私たちが関与した何か、私たちが意識を向けた全てが、受け手にとって最適の経験であり、価値あること、価値あるものであることを真剣に念じ続けているのがプレマの本質です。時として不愉快、時として思い通りでないこともあり、またそんな都合の良いことだけはあるわけはないということまで含めて、私はそう申し上げておきたいのです。 「あなた(プレマ)なしでは、今の自分はありませんでした。」という言葉が、たとえ私の耳に入ることがないとしても、私はそういう存在であり続けたいと思うのです。私が100万円の誤振込以上の価値を感じ続けているのは、その言葉であり、また、その言葉がなくても、そうしようと思えていることそのものなのです。

 

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プレマ株式会社 代表取締役
中川信男(なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。
1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。
保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

- 中川信男の多事争論 - 2017年7月発刊 vol.118

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