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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

【Vol.37】最も大切なことを大切にする

投稿日:

「最も大切なことは、最も大切なことを、最も大切にすることだ。」世界的に有名な経営指導者であるフランクリン・R・コヴィー博士の言葉です。博士の偉業は「7つの習慣」「第8の習慣」などの書籍として出版されており、世界中のあらゆる主要言語に翻訳されていますから、誰でも読むことができます。

先日、コヴィー博士が数年ぶりに来日されたおり、私は彼の教えるところの本質を知りたいと思い、2日間の来日セミナーに参加しました。どのような先生から学ぶときでもいえることですが、何冊もの書籍が出版されていて、それを何度も読んでいたとしても、直接本人の近くでエネルギーを感じながら生の声を聞くことは大きなインスピレーションをもたらしてくれるものです。しかも博士はすでに70代、まだ現役とはいえ、あと何十年も活動されるとは想像しがたいのです。

この「おそらく、最後の来日」と称されるセミナーの案内を受けたとき、私はひどく悩みました。なぜなら、セミナーの開催日は妻の出産予定日の2週間前。セミナーは東京で行われ、家は京都です。

いざ、「陣痛開始」という知らせを受け、帰り着くには最低でも3時間は必要です。さらにこれも、新幹線が走ってる時間帯の話で、もし夜中の知らせならばタクシーでかっ飛ばしても5時間以上かかります。「最後の来日か、お産か」という究極の選択を突きつけられた状態で、妻に相談したところ、彼女の答えは実にシンプルでした。「そんなに行きたいのなら、行っておいで。」

出発直前の助産院の検診で「まだまだ子宮口は堅いから、そんなにすぐではないよ。」という助産師さんの言葉にホッとします。さらに、月の満ち欠けのカレンダーを眺めながら、注意深く陣痛の来る日を予想しました。私の直感では次の新月と感じられるので、それまでには1週間ほどの猶予があります。妻とは、「もし携帯に連絡を受けても何かの途中で出られないときもあるかも知れないから、陣痛のときにもし出なかったら、必ず留守電を入れて欲しい。」などなどの観察と予想と打ち合わせを繰り返して東京に向かいました。

セミナー1日目のコヴィー博士を囲んでの懇親会で、なぜか参加者代表としてのスピーチのお声がかかりました。偉大な先生を前にしてのスピーチは非常に緊張するもので、壇上に立ったときには事前に考えていたことがすべて真っ白になっていました。からっぽな状態で口から出たことは、自分でも意外な内容でした。このセミナーへの参加に際し、妻の出産への備えとどちらを取るかで大いに悩んだこと、今回は例外的な禁じ手を犯してまでの参加だったこと、そして博士が繰り返し教えている「最も大切なことは、最も大切なことを、最も大切にすること。」の私が感じている価値について話しました。

ここまで読まれた方は「結局、中川は最も大切なことを、大切にしてないないじゃないか」とお思いになったかも知れません。確かに、私にとって出産に立ち会うことは、
人生において最も大切なことの一つになっています。今まで一度の例外もなく出産に立ち会い、それらのすべてをビデオに収めてきました。銀行の貸金庫に唯一入れているのはそれら出産時のビデオと写真だけ、といえば、それが私にはどれほど大切なことかご理解いただけると思います。前回のお産のときには、私は病気が進行して半身不随直前でした。治療のために福岡にいたときに破水の連絡を受けて、治療を放棄して京都に戻りました。子どもがこの世に生を受ける瞬間とは、言い尽くせないくらいに大切な瞬間で、私は全存在でその瞬間をお祝いしたいのです。

結局、「最も大切なこと」とは何でしょう。おそらくそれは、「これは本当に大切なことだろうか」と何度も何度も考えてふるいにかけ、それでもなお、最後まで残っていることではないでしょうか。今回の件で、片手以上の男性から「自分は出産のときに仕事やゴルフをしていたことを後悔している。」と聞かされました。その仕事やゴルフを出産のときにすることは、何度も何度もふるいにかけて最後に残る大切なことだったのでしょうか。
その答えは本人だけが知っていることですし、誰かが優先順位をつけるようなことではありません。しかし、『最も大切でないことは、大切でないことを大切にすることである。』と読み替えると、もっとリアリティーがあるかも知れません。

さて、最後に。今回の出産は予想通り新月の日の、新月の時間に始まり、絵に描いたような安産でした。その子は瑞基と名付けました。その名には「とてもおめでたいことの根本」という意味を込めました。

それはつまり、最も大切なことを、最も大切にすることなのです。

- 中川信男の多事争論 - 2010年9月発刊 Vol.37

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