私が自然療法に初めて出会ったのは、モザンビーク。医療事情その1でも少し触れた、ドイツ人看護師が取り組んでいた自然療法を用いた活動でした。
彼女は単身モザンビークに渡り、アナメド(ANAMED:Action for Natural Medicine) という運動のモザンビーク支部を担っています。アナメドは地元で摂れる植物や材料を使って、地元の人だけで自然療法のクリニックを運営できるように導く教育普及活動です。
医療事情その1でもお話しした通り、モザンビークの病院では薬が極度に不足しています。また病院が少なく距離的に病院に行くことができない人がたくさんいます。そんな状況の中、アナメドでは、地元でとれる植物などを使って、地元の人が協力し合ってクリニックを運営します。国からの支給だけに頼らず、地域の力で一定の医療対策が行えるこの活動はとてもすばらしいと思います。
私も一週間、現地のモザンビーク人参加者と寝食を共にして薬の作り方と普及活動の基礎を学びました。薬の原材料は現地で手に入るものばかり。例えば、傷によく効く玉ねぎクリームは玉ねぎとロウと植物油で作ります。作り方もとても簡単。その他にも、パパイヤの皮から摂れるミルクはお腹の害虫に、モリンガという木の葉はビタミンや栄養が豊富なため乾燥させて栄養補助食に、といった具合です。
驚いたのは、アナメドのもつ知識はヨーロッパからもたらされたのではなく、元々アフリカで伝承されてきたものだったということです。そこに東洋や西洋の叡智をミックスさせ、その土地に合うようにアレンジされています。古くからそれぞれの地域に根付く知恵はまさに宝。地域を越えた自然療法のもつ可能性の大きさに身の震えを感じました。自然療法は世界を変える。大げさではなく、そう確信しました。