ラオスで話されている言葉はラオス語です。隣国タイのタイ語と文法構造や単語など非常によく似ており、ラオス人はタイ語を聞いたり読んだりして、理解することができます。しかし逆にタイ人にはラオス語は理解できないようで、構造が同じでも、文字は異なり、意味が違う言葉もあるそうです。日本語とは、文法構造が異なり、主語・動詞・目的語の順番になるので、若干ややこしいですが、英語のような動詞の変化がないので、単語さえ覚えれば、あとは順序を変えるだけです。日本人には覚えやすい言葉と言えます。
今回はラオス語の中でも代表的な、またラオス人気質や文化などをよく表している挨拶の言葉をご紹介します。
まずは「サバイディー」。これは時間帯を問わず使える挨拶の言葉で、改まった場では、手の平を正面で合わせて相手の目を見て言います。「サバイ」は気持ちがいい、楽であるという意味で、「ディー」は良いという意味です。「サバイディーボー?」とすると疑問形になって、「元気ですか?」という意味になります。答えるときは「チャオ」が「はい」、「ボー」が「いいえ」となります。
次に「コープチャイ」。「ありがとう」を意味する言葉です。「コープ」は端・淵という意味で、「チャイ」は心を表します。心の中にある感謝の気持ちを伝えたいときに使う表現です。より強い気持ちを伝えたいときには「コープチャイライライ」と言います。「ライライ」はとても・たくさんという意味です。
そして、「ボーペンニャン」。「何でもない・大丈夫」という意味です。「ボー」は先ほども登場しましたが、末尾に来ると疑問、文頭に来ると否定を表します。「ペンニャン」は何か(問題が)ある、という意味です。「ボーペンニャン」は特にラオス人気質をよく表している言葉で、ラオス人に何か頼み事をしたり、世話になってお礼を言ったりすると必ず笑顔で「ボーペンニャン!」と返ってきます。小さい事は気にしない。そんなラオス人の性格が最もよくわかる言葉です。しかしながらそれが悪い面に働くこともあり、一筋縄ではいかないこともあります。
その他にも、挨拶と呼べるくらいに定着した言葉として、「パイサイ?」「キンカオ」があります。「パイ」は「行く」、「サイ」は「どこ」なので、「どこ行くの?」という意味になります。また「キン」は「食べる」、「カオ」は「ご飯」で、「ご飯食べよう」という意味です。これらは、近所の人同士が顔を合わせればかけ合う言葉で、より日常的な言葉です。まだまだ貧しい地域も多いラオスで、村の人同士がお互いを思いやる気持ちがにじみ出ています。
もしラオスへいらっしゃる機会があれば、これらの言葉を覚えて、ぜひラオス人に話しかけてみてください。必ずラオス人は笑顔で答えてくれます。発音なんてボーペンニャン!大事なのは伝えたいという気持ち。英語で話すのとはまた違ったコミュニケーションがとれるはずです。
駒崎 奉子
駒崎 奉子氏 ラオス・ビエンチャン在住3年。大学卒業後、日本での社会人経験を経てラオスへ渡り、日本語教師をつとめる。現在は日本人学校で教える傍ら、ラオス語翻訳や文筆活動も積極的に手がけている。 「こまごめ」は大学時代に名字からつけられたあだ名。 |