春の楽しみは自然界につぎつぎと姿を現す命の美しさ。さまざまな花があちこちに咲き誇り、鳥たちの鳴き声はまるで合唱団のよう。どれひとつとして同じものがなく、それぞれの個性に魅了されます。そんなとき、私は尊敬するある先生の言葉をよく思い出すんです。
「あなたね、動物や植物は、自分とほかを比べたり、自分以外の者になろうとしないでしょ?」
「『自分もあんな香しい梅になりたい』って悩む桜や、『人気者の桜の方がいい』と言っている梅なんて、聞いたことがないでしょ?」
「人間くらいよ。自分じゃない者になろうと無駄な努力をしているのは〜」
いやはや、おっしゃる通りです。私たち人間は自分と周りを比べて落ち込み、自分の個性を変えようと努力していることのなんと多いことでしょう。
個性を活かすヒント
さらに先生はこう教えてくださいました。
「個性に良い悪いはないの。ただの違いなのよ。ただの違い」
なんということでしょう! ただの違いだったなんて。そう知ったときの私の衝撃は言葉にならないほどでした。あんなに自分を恥じ、悔やみ、責めまくっていたのは、なんだったの? どおりでいつも疲れていたわけだ!と、力が抜けたのをいまも覚えています。
考えてみれば個性は生まれ持ったものですから、そう簡単に変わるはずもなければ、もとい変える必要もない。個性は活かすものだったのです。個性は変えようとすると苦しいけれど、活かし方がわかると楽になるのです。気持ちも行動も、人間関係や仕事も、体調も。パワー全開です。
個性を活かすには、まず「個性を知る」。そのうえで「その個性の活かし方・活かす場所を知る」。この両方が必要なのです。たっぷりの水が必要な植物もあれば、水が多いと根腐れする植物もあるし、日当たりのよい場所を好む植物もいれば、直射日光が当たらない日陰が必要な植物もいる。私たち人間も個性によって、その活かし方も活かす場所も異なります。活かすというと少し難しく感じるかもしれませんが、トライアンドエラーを繰り返すうちに付き合い方がわかってきます。
とはいえ、闇雲に試すと膨大な時間がかかってしまうので、誰でも短期間で自分の個性を知り・活かすことができる秘訣「影響力の4タイプ®」を2ヶ月にわたってご紹介します。
あなたの唯一無二のチーム
「影響力の4タイプR」とは? 私たちのなかに、4つの異なるキャラクターがいると思っていただくとよいでしょう。それぞれのキャラクターには異なる個性(特質)と役割があり、その個性を象徴する名前がついています。
① 戦士(武)
② 魔法使い(智)
③ 恋人(愛)
④ 主権(統)
この4つのキャラクターは、あなたを応援するために存在し、お互いの違いを活かし合い、力を合わせている唯一無二のチームです。
4つのキャラクターの存在を知ったのは、14年前。私の師匠 エドウィン・コパードから教わりました。ベースは心理学の元型論(フロイトやユングが有名)ですが、心理学にエドウィンの強みである「ボディヴォイス(感性を呼び覚ます声)」を掛け算し、独自のモデルに発展させました。キャラクターの名前からは西洋的なイメージを受けるかもしれませんが、効果は国籍や人種を問わず普遍的です。4つのキャラクターのカッコ内の一文字は、日本人が各キャラクターの特質を想像しやすいように表しています。
来月は4タイプそれぞれの個性と役割をご説明します。自分自身を知り、受け止める大きなヒントになるでしょう。