教育はネットにお任せ?
「お母さん、セックスってなに?」もしこう聞かれたら、あなたなら何と答えますか? ドキっと驚いて、つい「まだ知らなくていいの。オトナになったらね」とその場を逃げてしまったり「そんなこと、誰からきいたの!」と問いただしてしまったりしがちですよね。あまり小さなころから性的なことに対して興味を持ってもらいたくない気持ちはよくわかります。
しかし、時代は変わりました。今では漢字も知らない幼い子どもでもGoogle先生に聞けばなんでも教えてくれます。親の知らない間に、性的なワードを検索していることも普通におこりうるのです。そのとき子どもが目にする情報は本当に良い情報だと、言い切れるでしょうか? 子どもの将来のためにも、ご家庭ではできるだけ小さなうちからその年齢に応じた伝え方で、少しずつ性のことを伝えていくことを強くおすすめしたいです。
自分の身体のしくみに関心をもち、理解したり、心(気持ち)を素直に表現したりすることは、将来に役に立つだけでなく、子どもを狙う性犯罪から身を守ることにも繋がるからです。「小さなうちから」というところがポイント! 思春期に入ってしまってからではハードルが上がりますから、できるだけ小さなうちから何度も明るく学ぶ機会をお家でつくりましょう。
そうはいっても、いざ話そうと思っても、一体なにをどう伝えてよいのか、説明のスキルがなく自信がない、という方も多いのではないでしょうか。それもそのはず。わたしたち自身が、親からはなにも教わってこなかったわけですから当然です。そこで今回のコラムでは性のことを伝えるときのポイントをお話します。
伝え方5つのポイント
例えばお風呂で、お母さんの生理のことを目にしたときや、ドラマをみて性的な行為のシーンがあったとき、もしなにか子どものほうから聞いてきたときは、絶好のチャンスです! ご家庭での性教育に親が心得ていたほうがよいことはこの5つ。
①感情的にならない(怒らない)
②嘘をついたり、はぐらかさない
③後回しにしない
④温かな雰囲気で話す
⑤聞かれる前から絵本を活用!
「性教育」と聞くと「精子と卵子が~」という妊娠のメカニズムを学ぶことを連想しがちですが、小さな子どもたちに対し伝えていける性教育はそれだけではありません。
自分の身体の部位の正式な名前やその役割について知ることからはじまり、大人と子どもの身体の違いを知ることも大切ですし、身体を清潔に大切に扱うことも性教育といえます。それから「気持ちいい」「気持ち悪い」といった体感覚を素直に言葉にして人に伝える練習、他者の身体のプライベートな部位を見たり触ったりしてはいけない人間としてのモラルや、結婚や赤ちゃんのことについて話したりするのも性教育です。
実は生活のなかでたくさん話すキッカケがあるので、特別に「性教育の時間」をつくる必要はなく、普段の自然な会話の流れのなかで明るく話をしてみましょう。「オープンにする」というよりも、大切なこととして温かい雰囲気で「丁寧に」伝えること。案外子どもは純粋にすんなりと受け入れて理解します。恥ずかしくて変な気持ちになるのは、わたしたち大人のほうに性への「偏見」があるからなのです。
わたしが特にお勧めしている本は『あっ!そうなんだ(浅井春夫・著)』です。この本は性交やセルフプレジャーについてもイラストでわかりやすくやさしく描かれています。「どんな気持ち?」と問いかける素敵な本です。このように素晴らしい絵本がたくさん存在していますから、夫婦で話し合って選び、ぜひ活用してみてくださいね。