思春期のお子さんに対して、性教育をどうしたらよいのか?と密かに悩んでいらっしゃる保護者さんも少なくないようです。よくわからないから、もし特に触れずに済むのならそのほうが助かる、という気持ちのほうが正直なところかもしれません。しかし、大人として、親として、責任を感じるから「教える必要があるのでは」と心配しているといったところではないでしょうか。
思春期の子ども向けの家庭でできる性教育については、この「らくなちゅらる通信」の2022年1月号で伝え方のポイントを書かせていただきましたので、興味のある方はアーカイブからご覧ください。
お父さんが気持ち悪い
先日もある小学5年生の女子をもつお母さんから相談を受けたのですが、「子どもがパパと手をつなぐのを、気持ち悪い!と言ってイヤがるんです。思春期なので仕方がないですが夫は寂しそうです。これからずっとこんな感じが続くんでしょうか」という内容でした。そういう時期は、もちろんいつまでも続くわけではないことをお伝えしたうえで、お父さんの子どもさんへの接し方の工夫が必要かもしれないということをお伝えしました。
親からしてみれば、赤ちゃんのころから毎日見てきてほんとうに可愛い「子ども」だったのでしょうが、大人の女性へと着実に成長してきている証拠です。それはとても喜ばしく順調なことなんですが、ついつい親のほうが子どもの成長の早さに気持ちがついていけないことってありますよね。でもそういうときこそ、わたしたち大人自身が子どもたちから教わる「自己成長」のチャンスと捉えることもできます。
実はわたしはこのお母さんへもうひとつ、付け加えた余計なおせっかいがありました。それは「たまには、ママが、パパと手をつないでみるのはいかがでしょう?」そのお母さんは、照れ隠しだったのか、本気だったのかわかりませんが、とても険しいお顔をして「それはかなり難しいですね」とおっしゃいました。
夫婦間のデリケート
夫婦の関係性について、子どもが小さかったころにはなんとなく誤魔化しがきいていたとしても、大きくなってくると俯瞰視できるようになってきますから、ときには鋭い言葉で、親にとってグサっと傷つくような言葉をあえて選んでくることがあります。それは、肉体は大人へ成長してきているのに、脳が成長段階のため、相手の立場まで想像して、上手に表現するスキルがまだ育っていないからで、若さゆえのケアレスミスです。
一緒に暮らしていれば、両親が愛し合っているかどうかなんて、言わずとも察するようになってくるもの。もしも思春期に子どもの性教育が気になったら、それは自分たち夫婦の関係や、自身の人生について改めて向き合うタイミングかもしれません。
例えばパートナーに対して、これまで自分の気持ちを抑え込んでいる本音の感情があったり、ずっと前に諦めてしまった理想の結婚観があるときなどは、そこに向き合うことで痛みを感じるかもしれません。時に勇気がいる決断が必要になることも。逆に、向き合ってみることで、これまでいろいろあったけれどやっぱりわたしたち夫婦はこれで本当によかった!と改めて幸せを嚙みしめることになるかもしれません。
もちろん「結婚観」に正解はありません。あなた自身が今、ほんとうに納得している人生で、幸せを感じ生きているかどうか。たとえ今は大変でも、幸せなほうへ向かっているかどうか。生きることを楽しむその背中を、そばで見ているのは子どもたちです。どんなもっともらしい言葉や正しい言葉よりも、彼らにとっては大好きなお母さん、お父さんの幸せが、大人になる希望となるのです。