「私と多くの人の人生を変えた」と言っても過言ではない存在についてお話しします。その影響力の秘訣に触れていただけるかと思います。どうぞ、お付き合いください。
その人物は私の師匠であり、ボディボイスの開発者、エドウィン・コパードです。エドウィンは、3歳からピアノを弾き始め、プロミュージシャンとしてデビュー。若くして成功を収めますが、運命はときに粋な演出をするものです。
商業音楽の世界を卒業し、「声の力でその人の輝きを取り戻させる」という天命へと導かれます。その道の達人として北米のみならず、欧州、日本と活躍の場が広がるなかで、私はエドウィンに出逢い、日本に講師として招くようになりました。
エドウィンは、「自分らしさ」でいうと、私の人生でもダントツ1位に上がる人です。いつも、どんなときも、誰と居ても驚くほど「自分らしい」人でした。自分を大きく見せようともしなければ、自分を過小評価もせず、気取ることもなく、じつに「くつろいだ」存在でした。
大物と称されるような人たちと一緒にいるときも、驚くほどリラックスして、自然体です。大物相手にジョークを飛ばしたり、相手をからかったり。自分もまわりも大爆笑の渦へ。エドウィンがいる場には、ハッピーなエネルギーが立ち昇り、だれもが巻き込まれてしまうのです。大物もエドウィンの前では「ただの人」に戻ることができ、ホッとしていたように見えました。安心して素の自分を出すことできるシェルターだったのかもしれません。
「いつでも自分らしいエドウィン」は、こちらの想定をこえた自由な言動や振る舞いも多く、最初のころは、ヤキモキし、小言を言ったりしていたものです。たとえば、都内のピアノ防音室で、窓とドアを開け放したままピアノを弾き出したときは、想定外の行動に大慌てしました。
またあるときは、セミナーの昼食の量が物足りなかったからと、セミナー主催者の私の知らぬ間に、参加者30名分のハーゲンダッツを両手に抱えてドヤ顔で帰ってきたのです。もう腹が立つやら呆れるやら。この手の話は数限りなくあります。
しかし、私はまもなくエドウィンのとりこになりました。正確にいうと、エドウィンという人物が見せてくれた〈正真正銘の自分を思いっきり生きる姿〉に、すっかり魅了されたのです。偽りない自分を本気で生きる姿は、とても生き生きしていて、魅力的で、たくましいのです。自分を大きく見せる必要がないから、バカバカしいことをやってのけます。だから、格好いい、清々しいと感じました。
私の師匠(であり、多くの人が愛する師)エドウィンのまわりには、いつもなにかが起きていて、生命の躍動がありました。笑い声、歌声がはじけ、しなやかに、弾むように動く人々の姿が溢れている光景は、とても美しく、「生きている!」という感覚がむくむくと湧き上がり、ウズウズしたものです。そこに集う人、全員がイキイキと輝き、心底、その一瞬、一瞬を楽しんでいてきらめいている。そんな体験をなんども重ねた私だから、いまも確信しています。私たちは輝きながら生きていける、と。
特別な場所や特別な人のまわりだけで起きることではなく、人生のあらゆる瞬間がきらめき、輝く人生を生きていける。そう信じています。そして、私たち大人がそのように生きるとき、子どもたちの笑顔の花はきっと咲き誇るでしょう。未来の世代には、まぶしいほどの輝きがあるでしょう。
そんな世界を多くの人とともに創り、未来に遺していきたいと願っています。この連載も手にとってくださった方の輝きを取り戻す一助になれば嬉しいです。最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございます。