久しぶりに再会した友人から、庭が素敵な精進料理の店があると聞き、行ってみたいと思い、覚えにくい名前だったので店の名前をメモしました。それからすぐに、最近とても不思議な縁で仲良くなったMちゃんから、またその店の話を聞いたのです。友人から、その店はお寺だと聞いていたのですが、Mちゃんから陰陽道の最高神であり、北辰 （北極星・北斗七星）の神である北辰鎮宅霊符神が祀られている、とてもすばらしいお寺だと聞き、これはすぐに行けという「サイン」だと思い、すぐに参拝に行くことにしました。

そこは住宅街にある小さなお寺で、中を歩いていくと、鎮宅霊符神本廟が見えてきます。十干十二支九星を司る総守護神で、安倍晴明開眼とされる四尺五寸（約１３６㎝）もある鎮宅霊符神の金剛像が中央に祭られ、向かって右手には韋駄天像、左には厨子に納められた歓喜天像が祭られていました。さらに奥に行くと本堂があり、本堂の天井には雲龍図が描かれていて、後水尾法皇ゆかりの品々や伊藤若冲の十二支版木を鑑賞することができました。そして、右手の方を見ると、開山三百三十周年記念と後水尾法皇の法皇忌を記念し、チベット密教の高僧が来日して世界平和を祈るために制作した砂曼荼羅が公開されていました。

それを見た瞬間、20代のときに導かれて行ったインドのことを思い出しました。小チベットといわれる北インドのラダック地方のレーに行ったときに、あるゴンパ（寺院）で砂曼荼羅を制作しているのを見たことがあったのですが、まさか日本で完成した砂曼荼羅を見られるとは思わず、とても感動しました。

死ぬまでに見たかった砂曼荼羅。本当はやりたい砂曼荼羅。もしかすると過去生でやっていたかも？と思い出すように、長い時間眺めていました。

ここにある砂曼荼羅は、二つ作られたうちの一つで、観賞用として崩れないように特別に固めてあるそうです。もう一つのものは、完成後すぐに壊され、砂は高僧が自国へ持ち帰ったそうです。とても贅沢ですばらしい時間でした。今度は精進料理を予約して、また絶対来ようと思います。

この世を去るときに道に迷っても、この曼荼羅を思い出せば、天（宇宙）まで導いてくださるそうです。「これでバッチリやな」。半世紀を生き、あとどのくらいこの世にいるのかわかりませんが、とても暖かい気持ちになり、やっぱりサインには従うべきたと確信しました。

プレマルシェ・オーガニクス店舗スタッフ
小泉 由紀（こいずみ ゆき）

京都生まれ京都育ち。他府県の方から京都の見どころを教えてもらうことが多い京都人。10年ぶりに眼鏡を作ろうと考えていて、ずっと眼鏡をかけている人になって「あの眼鏡の人」と言われるようになりたいです。