ポリフェノールが身体にいいとよく聞きますが、どういう健康効果があり、どのように摂るのが効果的なのでしょうか?(美肌になりたい40代主婦)
答える人 プレマ株式会社 お客様コンサルティングセクション 岸江 治次
多様な食品でマルチな健康効果を享受して
最近では食事と健康に関する研究が進み、肉を食べすぎると動脈硬化を引き起こしたり心臓病のリスクを高めたりすることがわかってきました。その研究のなかで、肉を多く消費するにも関わらず、健康的に過ごしている人々がヨーロッパで多い理由を調査した結果、赤ワインに含まれる「レスベラトロール」というポリフェノールが健康に良い影響を与えることが発見されました。これがポリフェノールの研究に火をつけ、この成分が抗酸化作用を持ち、健康に大きく寄与することがわかりました。
「ポリフェノール」は、植物が光合成を通じてできる抗酸化物質の総称です。植物の色素や苦味の成分で、種類によって多様な健康効果を持ちます。たとえば緑茶や番茶に含まれるカテキンは、殺菌や抗菌効果があり、風邪や感染症の予防に効果的です。ブルーベリーや葡萄に含まれるアントシアニンは、目の健康に良く、特に白内障や緑内障などの予防に効果的です。コーヒーポリフェノール(クロロゲン酸)は、脂肪肝を予防し、高血圧を防ぎ、血糖値の上昇を抑え、糖尿病予防にも貢献します。また、ごぼうやさつまいもなどにもクロロゲン酸が含まれています。蕎麦に多く含まれるルチンは、動脈の健康を保ち、血管を拡張する効果があり高血圧に効果的です。ウコンやカレー粉、たくあんなどに含まれるクルクミンは、肝機能を向上させて、アルコールを多く摂取した際に生じるアセトアルデヒドの分解にも役立ちます。主に大豆に含まれるイソフラボンは、女性のホルモンに似た作用を持ち、美肌効果やボディラインの維持に役立ちます。さらに、更年期障害の予防にも効果的で、多面的な健康効果を持つポリフェノールです。また、最近注目を集めているカカオ豆に含まれるカカオポリフェノールは、動脈の健康を保ち、抗アレルギー作用もあります。さらに、脳の機能を向上させ、認知症の予防にも役立つことがわかってきました。生姜に含まれるショウガオールは、血管を拡張することで血流を改善し、代謝を促進し、肩こりや冷え症などの症状にも良い影響を与えることがわかっています。冷えは多くの健康問題の原因となるため、生姜を食べるとショウガオールを通じて体全体の調子を整えられます。米や麦の皮の部分、つまり米ぬかや麦ふすまに豊富に含まれるフェルラ酸は、動脈の健康を守る効果や生活習慣病、癌の予防に役立ちます。さらに、免疫機能の向上や認知症の予防にも効果があるとされています。
このようにさまざまな健康効果を持つポリフェノールですが、体に吸収されやすい反面、効果が短時間で消えてしまうので、注意が必要です。効果は摂取後、約30分で現れ始め、2時間ほどでピークに達します。そして3~4時間後には、ほぼ完全に効力は消失します。このため、ポリフェノールの効果を継続的に享受するためには、常に摂取を続けることが必要です。
ポリフェノールの種類は5000から8000種類に及ぶとされ、今回紹介したのはほんの一部に過ぎません。一般的にさまざまな食品を取り入れることが健康に良いといわれていますが、ポリフェノールも同様です。偏った食生活ではなく多様な食品をバランス良く取り入れ、植物が持つポリフェノールの素晴らしい効果を最大限に活用しましょう。