子どもたちの健康のために、なにを食べさせるべきかを順番に書いています。今号では赤ちゃんが胎児期より母親の食事から受ける影響について書きます。
赤ちゃんはお母さんのお腹にいるときから味の好みを覚え始めます。お母さんが食べた物により羊水の味が変化するので、母親の妊娠中の食事が赤ちゃんの食の好みに影響を与えるのです。ニンニクをよく食べる女性の羊水はニンニクっぽい味がし、ニンジンをよく食べた女性の赤ちゃんはニンジンが好きです。妊娠中にPBWF(プラントベースホールフード:植物性の食材をなるべく精製加工することなく食べる)の食事をしたお母さんの赤ちゃんはのちにPBWFを好むようになります。母乳は羊水よりもさらに母親が食べたものの影響を受けるため、授乳期は今後の食の好みが確立されやすくなります。2歳のときに好きだった食べ物を20歳のときにも好んでいるかをかなり正確に推測することができるのです。初めの味の経験が一生の食べ物の好みの基礎となります。母乳育ちの赤ちゃんは、授乳期にお母さんが食べていた食べ物を好むようになります。また母乳育児の赤ちゃんは、粉ミルク育ちの赤ちゃんよりも幼児期以降に豊富な種類の食べ物を食べる傾向があることもわかっています。
2歳までのタイムライン
産まれてから4ヶ月ごろまではミルク(母乳や粉ミルク)を与えます。この時期に必要な食べ物はミルクだけです。母乳はタンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルと水を完璧な割合で摂取することができる赤ちゃんにとっての完全食です。母乳のタンパク質は約5%しかありません。生まれて初めの数ヶ月は一生のうちで最も急速に成長する時期ですが、母乳はこの時期をたった5%のタンパク質で賄うことを可能にしています。母乳は完全栄養食であり、この時期、水を含めた他の物を補う必要はありません。
4〜6ヶ月ごろ、赤ちゃんが順調に発達し、食べ物に興味を持ち始めたら離乳食を開始します。初めは1日1食、1回の食事で数口から始めます。
6ヶ月ごろから指でつまんで食べる食べ物を与え始め、幼児用のこぼれにくいカップを使って水を与えます。この時期から1日2回の食事に移行できるようにします。
9ヶ月ごろにはテーブルについてピューレ状のものをすくう練習をしながら1日3食に移行します。上手くすくって食べることができなくてもスプーンやフォークを与えるようにします。
どの段階でも食事のすべてをプラントベースの食材で構成します。小さく切ったり、よく火を通したりして喉に詰まらない工夫が必要ですが、これは通常の食事でも必要な配慮です。
1歳になるころには家族が食べているものをあまり調整することなく与えられているようにします。赤ちゃんのミルクの摂取量は減っていきます。必要カロリーの大半を固形食で摂れるようにします。母乳は6ヶ月のころに比べて半分程度になります。もし思うように進んでいなければ、普通のコップを使って水を与え、だんだん哺乳瓶を止めるようにします。このころから午後のおやつを始めてください。子どもは胃袋が小さく一度にたくさんの食事を摂れないので、3時間おきになにかを食べる必要があります。生活リズムによっては朝のおやつを与えます。このころにはビタミンB12のサプリメントを始めてください。
1歳になれば、はちみつを与えることができます。赤ちゃんは初めての食感や複雑な味を経験し続けます。粉ミルクを減らすようにしてもよいですが、可能であれば母乳を与えることは続けてください。飲んでくれるようであれば植物性ミルクを始めるのもよいでしょう。植物性ミルクの詳細については次号以降に詳しく書きます。