植物性ミルクの選択
離乳期を迎えるころにどの植物性ミルクを与えるべきかという問題に直面することがあります。しかし、牛乳はもちろん、植物性ミルクも必ず与えなくてはいけないものではありません。
植物性ミルクにはさまざまな味と栄養のものがあり、どの植物性ミルクが一番良いかの質問の答えは一概には言えません。味の好み、特定の栄養に対する関心、使用目的によりチョイスします。1歳で卒乳しようとしているのなら、脂質が多くより完全な栄養の観点から豆乳を選ぶことを検討してください。お子さんがすでに豆腐やテンペ、味噌などの大豆製品を普段から食べている場合、豆乳ではなくヘンプミルクを選択肢に入れてください。カロリー制限が必要ならアーモンドミルクが適しています。ココナッツミルクは飽和脂肪酸が多いので推奨しません。ライスミルクは産地や栽培方法によりヒ素が高レベルで残留している可能性と栄養価が低いことから避けたほうが良いでしょう。どの種類のミルクを選ぶにしても、未精製の植物から作られ、加工が最小限で甘味料や油が添加されていないものを探してください。小さい子ども用には栄養が添加されているミルクを選ぶと良いと思います。
豆乳
高濃度のタンパク質を含み、植物性ミルクのなかで最も栄養価が高い種類に分類されています。テクスチャーは滑らかでクリーミーです。植物性エストロゲンについてヒトでの研究では初潮年齢の遅延、乳がん罹患確率の低下、早期閉経、少ない更年期症状と関連していて、男子の女性化との関連が見られませんでした。
ヘンプ(麻の実)ミルク
脂質とカロリーに富み、特にオメガ3脂肪酸の大きな摂取源となります。豆乳ほどではないですが、他の植物生ミルクに比べてタンパク質が豊富です。滑らかでクリーミーなテクスチャーで、ナッツの風味がします。牛乳や豆乳に比べアレルギーのリスクが少なく、乳やソイ、ナッツアレルギーの人も摂取できます。
リップル(えんどう豆)ミルク
比較的新しい植物性ミルクです。精製度が高く、油が添加されている製品が多いので注意が必要です。タンパク質含有量とカロリーは豆乳に近く、濃厚でクリーミーな味わいです。えんどう豆の栽培には環境負荷が少ないことでも注目を浴びています。
アーモンドミルク
タンパク質、脂質、カロリーが少なく、天然のカルシウム源となります。シュウ酸レベルが高いのでたくさん摂取すると腎結石を生じるリスクがあります。
ココナッツミルク
ココナツ種子の固形胚乳から抽出されるミルクです。ココナッツ油の原料でもあるため飽和脂肪酸を多く含み、栄養価はほとんど期待できません。濃厚で天然の甘みが特徴ですが少量の使用に止めるべきです。
オーツ(麦)ミルク
炭水化物とタンパク質量においては中間的な存在です。コレステロールレベルの低下が期待できる可溶性食物繊維が豊富です。
ライスミルク
栄養価は低く、ヒ素による汚染の可能性が高いため小さい子どもには推奨しません。