丈夫な骨を作るために
カルシウムは土壌中に存在するミネラルです。牛乳にカルシウムが含まれるのは、乳牛が緑の葉っぱを食べ、そこからカルシウムを体内に取り込むためです。人は牛を介さずとも、緑の野菜から十分カルシウムを摂取できます。植物からカルシウムを摂ることで、牛乳に含まれるコレステロールを摂取せず、植物のビタミン、ミネラル、ファイトケミカルを一緒に摂取できます。緑の野菜以外では、豆類、大豆加工品、アーモンド、ひじき、わかめ、海苔、切り干し大根、ごまなどにカルシウムが含まれますので、積極的に食べるようにします。生涯骨量の90%以上は20歳までに形成されますので、幼少期に強い骨を作ることは生涯にわたり健康な骨を保つことにつながります。強い骨を作るために、カルシウムを積極的に摂る以外にできることは次の通りです。
・遊ぶこと:骨を作る細胞は負荷がかかると活発に働く性質があります。強い骨を作るために、子どもは1日3時間の身体活動(体を動かすこと)が必要です。強い骨を作るために、大人も子どもも適度な運動が必要です。
・塩を摂りすぎない:余分な塩分は、腎臓で濾過され尿として体外に排出されます。このとき塩分と一緒にカルシウムも排出されます。加工食品や出来合の惣菜、外食は塩分を多く含む傾向にあるので注意します。
・太陽の光を浴びる:骨を強くする作用があるビタミンDは、皮膚が紫外線を浴びることで生成されます。
・タンパク質の摂り過ぎを避ける:体はタンパク質を処理する際、カルシウムが必要になります。そのため、タンパク質を摂取するほどにカルシウムが体から引き出され、尿中に排泄されます。PBWF(プラントベースホールフード)の食事では、タンパク質の摂り過ぎを防ぐことができます。
・果物と野菜を食べる:果物と野菜は血液中の酸を減らす効果があるので骨の健康を促進します。
ビタミンB12
ビタミンB12は細菌が作り、魚介類、藻類、肉類、卵類、乳類などに多く含まれています。一方、野菜類、果実類、きのこ類、いも類などの植物性食品には含まれません。完全なプラントベースの食事をしている人は信頼できる方法でビタミンB12の補給が必要です。稀ですが、ビタミンB12欠乏として不可逆性の神経損傷、貧血、発達後退、栄養補給困難を引き起こす可能性があり、赤ちゃんと幼児は特に危険性が高いです。ビタミンB12は、栄養強化シリアル、植物性ミルク、ニュートリショナルイーストなどから摂取することができます。日本人は海苔を食べる習慣があるがため、海苔からビタミンB12が摂れます。海苔を意識して食事に取り入れるようにしましょう。海苔を食べる習慣がない欧米人はビタミンB12を摂取する方法としてサプリメントを選択しています。
授乳中の母親が適切にビタミンB12を摂取している場合、赤ちゃんは母乳から適切な量を得ることができます。もし母親のビタミンB12の状況が疑わしければ、赤ちゃんに補充する必要があります。栄養の半分を母乳以外から摂取する時期(9〜12ヶ月頃)になればビタミンB12のサプリメントを推奨します。メチルコバラミンとシアノコバラミンは、血中ビタミンB12濃度を上昇させることが証明されていますのでどちらを使っても良いです。
健康な人が食事やサプリメントからビタミンB12を摂り過ぎても健康に影響はありませんが、必要な量は非常に少ない(0.5〜3mcg)ことに注意してください。子ども用にはスプレー、液体、チュアブルなど使いやすい製品の入手が可能で、B12を含んだ子ども用マルチビタミンを使う選択肢もあります。