ながれるようにととのえる
身体の内なる声を味方につけて、生きる力をととのえる内科医、鍼灸をおこなう漢方医のお話
やくも診療所 院長・医師
眼科医を経て内科医、鍼灸をおこなう漢方専門医。漢方や鍼灸、生活の工夫や養生で、生来持っている生きる力をととのえ、身体との内なる対話から心地よさを感じられる診療と診療所を都会のオアシスにすることを目指す。
やくも診療所/東京都港区南麻布4-13-7 4階
なぜなんだろうを問い続ける
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ある患者さんと話していると、その患者さんの甥が通院していた病院とは別の病院を訪れた際の話をしてくれた。その病院では、「好物はなに?」と聞かれたそうだ。そして、「鶏の唐揚げです」と返答したところ、「米を主食にして、小麦製品を控えるようにする」「肉食に偏らないように、野菜を意識的に食べる」「油脂は控えめにする」「コンビニ食が多くなりすぎないようにする」などの食事のアドバイスから、「週末に米を炊いておいて冷凍しておくと便利」などの食生活の工夫まで丁寧に教えてくれたそうだ。
この方は通院していた病院で難病の診断を受け、薬を処方され定期的に大腸鏡の検査をして経過を見ていた。この病院の対応は一般的だと思う。しかし、薬を処方するだけでは病態が改善するのが難しい場合もある。難病ならなおさらだ。しかし医者は、そういった一般的な治療を継続すること以外に、改善する方法はないと思いがちなのかもしれない。例えば、免疫の異常による腸粘膜の炎症という病態は解明できたとしても、なぜその免疫の異常が起こっているのかという根本原因はわからないままなのである。そういうときこそ、患者が身体に負担をかけるような生活を送っていないかを振り返ることは、生きることを少しでも楽にするヒントを見つけるチャンスなのではないだろうか。