ながれるようにととのえる
身体の内なる声を味方につけて、生きる力をととのえる内科医、鍼灸をおこなう漢方医のお話
やくも診療所 院長・医師
眼科医を経て内科医、鍼灸をおこなう漢方専門医。漢方や鍼灸、生活の工夫や養生で、生来持っている生きる力をととのえ、身体との内なる対話から心地よさを感じられる診療と診療所を都会のオアシスにすることを目指す。
やくも診療所/東京都港区南麻布4-13-7 4階
優しいってなんだろう
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初めて来院した患者さんから、「通院している主治医は、人のいいお医者さんと聞いて受診しているんです。でも、症状を伝えるたびに薬が増えて、今では10種類になり、さすがに多すぎる気がして。それを伝えたら大丈夫ですと言われたんです」という話を聞いた。
この「大丈夫」という言葉は、どういう意味だろうか。また、そもそも人のいいというのはどういうことだろうか。それは「言葉遣いが優しい」とか、「丁寧に話を聞いてくれる」とか、「要望をすべて受け入れてくれる」とか、「身体の不調を変えるのは自分しかいないと気づかせてくれる」ということなのだろうか?
つらいときは、優しさが身に沁みる。誰かに優しくされたいと意識が向きがちだ。しかし、相談に来る方と話していると、自身に優しさを向けている人が少ないと感じる。自身のことを後回しにしたり、自身に厳しくなってしまうと、余計に他人の優しさに甘えたくなってしまう。自身に優しさを向けることが大切だと頭でわかっていても、困っている人がいたら助けてあげることを良いとする日常生活のなかでは、どうしても自身のことは後回しにしてしまう。本当にそれでいいのだろうか。