島バナナなどのローカルバナナは、緑色の未熟な状態で収穫し、常温で追熟させて黄色く色づいてから食べるのが一般的です。自然のまま育てていると、黄色く完熟したタイミングで「そろそろ収穫しよう」と思ったころには、ほぼ100%の確率でオオコウモリやイソヒヨドリ、カタツムリ、ヤモリなどに先を越され、食い荒らされてしまいます。なるべく完熟に近い状態まで育てたほうが美味しいため、私はぎりぎりまで収穫を待つのですが、その分リスクも高まります。何本かを先に食べられてしまうのは、もはや日常の出来事です(汗)。
横取りされてしまうのは残念ではありますが、これは自然の摂理に沿った健全な営みでもあります。本来、バナナは動物に食べられることで種を運んでもらい、糞とともに別の場所で発芽することで、生育地を広げていく植物です。そのために、黄色く色づいて目立つようになり、果糖を多く含んだ甘い果肉で種の周りを包んでいるのです。
一般に流通しているキャベンディッシュには種がありませんが、原種のバナナは可食部が少なく種だらけでした。私が栽培している品種(通称アイスクリームバナナ)も、そうした自然の姿に近い種を残しているタイプです。
私たちが手軽に、しかも安価にバナナを手に入れられるのは、人為的な技術の積み重ねによるものです。突然変異で種を持たない株が見つかった後、選抜と育種を繰り返して品種改良が進められました。さらに、低温管理による追熟の抑制や、エチレンガスを用いた追熟促進の技術が確立されたことで、安定した流通が可能になりました。
こうした先人たちの努力は称賛に値しますが、その一方で、人間本位の営みが生態系のバランスに影響を与え、さまざまな歪みを生んでいるのも事実です。話は少し広がりますが、行き場を失った熊の出没、絶滅危惧種の増加、農薬成分が人体から検出されるといった問題など、私たちは意図せず生み出してしまった負の側面にも直面しています。
便利で快適な文明社会の恩恵を受ける一方で、自然の営みに目を向け、理解を深めること。そのなかで、人と自然のより良い関係のあり方を考えていくことが大切なのではないでしょうか。

かじられた完熟アイスクリームバナナ
