「こんにちは! こんな格好で失礼します。」笑顔が印象的なその人は、お尻のポケットにハートの刺繍があるジーンズ姿で、株式会社リブレライフの鴻巣工場の入口に立っていました。「この人しかいない!」そのとき、すでに私の直感が働いていました。
リブレライフは、米ぬかと大豆の製品に特化したニッチなメーカーでした。化粧品の「ブラン−ドリップ」や大豆まるごと発酵食品「豆汁グルト」が人気で、根強いファンから支持を得ていましたが、販売総数が少なく、経営はジリ貧でした。私は営業担当として製品をお客様に伝えながらも、この子(製品)たちをもっと活かしてもらえる会社はないかと、密かに思っていました。
そんなとき、後継者がいないまま、リブレライフの町田社長は亡くなってしまいました。遺族は会社清算の道を選び、たちの悪い弁護士を雇いました。私は知人や友人、取引先のなかから、数件の候補先を選び、まずはこの子たち(製品)を引き取ってくれる人を求めました。すると、会社まるごと(借金も!)一物全体、引き取ってくださる方が現れたのです。常識的に考えて、製品の権利だけを買い取れば、借金まで引き取る会社なんてありません。人は想いを強く持つと感が鋭くなるといいます。私は危うくすべてがなくなる直前に、白馬の王子様……もとい(笑)、プレマ株式会社の中川社長に声をかけたのです。町田社長が急逝して2年、中川社長の言葉に尽くせないご尽力により、プレマラボ株式会社として事業承継ができたことは、私たちスタッフからすれば、奇跡の連続、偶然のようで必然! 夢のような再生劇でした。
また、取引先や取引先の紹介の会社、取引先の友人の会社など、数社の社長からも精神的支援を得られたことも、心が折れないで譲渡まで繋げられた要因と思っています。リブレライフ時代、営業として販路を拡大してもなかなか黒字化が叶わず、辛い思いもしましたが、お客様と地道にコミュニケーションを重ねてきたことは間違っていなかったと、振り返ってみれば感謝の想いしかありません。
スタッフの結束が強くなり、今では新生プレマラボ株式会社として早く自立できるように、皆でがんばっています。コロナ禍ではありますが、酸素ルーム事業が東京で再開し、さらにお客様のお役に立てるものが増え、充実した日々を送っていること、親会社であるプレマのスタッフの皆様に助けていただいていることに、感謝でいっぱいです!
プレマラボ株式会社 営業担当
鈴木 啓子
(すずき けいこ)
現代の忙しい女性たちに、米ぬかと大豆の自社製品を使った簡単で美味しいレシピや食材をまるごと食べる一物全体の大切さをイベントや講座で伝えている。美味しいお酒と肴があればご機嫌の食いしん坊人。