研磨しあいながら成長するソウルメイト

私は今世で二人の息子を授かりました。子どもを育てる母親としての役割を演じながら、学び成長する課題を持っていたからなのでしょう。私は子どもたちから学びながら、子どもたちもまた、私を母親として選んで生まれてきたのには意味があり、良くも悪くも影響を受けながら成長するプログラムを持ってきているのです。どんな関係性においてもいえることではありますが、巡り合った魂同士は互いに鏡のような存在であり、本質へと誘うテーマを持ち、研磨し合いながら成長していけます。
私の二人の息子は全く個性が異なります。子育てにおいても、同じお腹から生まれてきたのだから同等に接しなければ、と思いがちですが、兄弟それぞれに全く違う人生の課題とプログラムを持ち生まれてきた魂存在なので、母親としては子どもの魂の個性を見抜き、認識し、それぞれに相応しい接し方を柔軟に実践していく必要があると思うのです。
自分がこれまで生きてきた価値観や常識や経験値から、彼らの人生を予測し制限を与えることなく、彼らが何を持って生まれてきているのか？
その無限の可能性に目を向けていなければならないと感じるのです。そんなことに気づかせてくれた長男とのある出来事がありました。

無意識下に隠された親のエゴ

長男が高校受験を控えたころのことです。呑気にいつまでも進路先が定まらない息子に対して痺れを切らした私は背中を押すようなことを言いました。ある意味で親として当然のことを言ったまでなのですが、彼からの反論に私は一瞬にして目を覚まさせられた気がしたのです。「僕の人生はマミーの期待に答えるためにあるんじゃない!!」
ぎくっとしながらも、痛いところを突かれた私は素直に認めるのもしゃくで「じゃあ、もうマミーは二度と言わない！貴方の人生は貴方の責任ですから」と返しました。それから彼は本気を出して自分自身の内なる声と対峙し始めたのです。
そのときの私の言動は、自分自身の無意識から発せられた言葉でした。「期待」というのは、一見、人を励ます言葉のようで、その裏側には、そうであって欲しいというこちら側のエゴと、そうで在らねば認められない、という受け手側の承認欲求を刺激するメッセージも隠されていたりします。いずれにせよ、存在をあるがままに認めるというより、条件付きになりかねません。
私は直接的に息子に対して、こんな学校に行ってちょうだい、こんな人生を歩んでちょうだい、とレールを引いた覚えはありませんが、言葉の端々に、彼に対する期待感がにじみ出ていたのでしょう。
私の長男に対する期待感は一体どこから来ていたのでしょうか。親にありがちなことですが、自分自身が叶えられなかった夢や、劣等感や自信のなさを埋め合わせる成績や、人に格好良く見られたい、認めてもらいたい自己顕示欲だったり。わお！書き出してみると恐ろしい。
逆に次男は、最初から期待を抱かせない「個性」というものを持って生まれてきました。良くも悪くも諦めからのスタートです。その諦めというのは、彼の将来に対する諦めではなく、私自身のエゴと期待感を捨てて諦めろ！
という魂からのメッセージです。諦めの先には、想像を超えた創造の世界、無限の可能性が広がります。５月号では、その次男との魂の約束事について触れました。彼が私にとって教師であったとするならば、長男は予期せず突如として現れた救世主ともいえるでしょう。長男がお腹に宿ったのは、日本の芸能界から一旦距離をおき、家庭という新境地へ大胆な方向転換をしたとき。しかもその地はアメリカ。もしあの時、長男がお腹に宿らなかったら、きっと半年後には帰国して仕事に復帰していたことでしょう。全ては仕組まれた計画としか思えない大いなる慈悲でした。
そんな魂の救世主に対して、わずかなりとも無意識の領域に隠し持っていたエゴを振りかざすだなんて、なんて愚かなことだったでしょう。魂は親子とはいえ、フェアな関係を望んでいるのです。