陣痛のとき……
前号で助産院出産は、病院出産と比べるとQOLが違うと書きました。今号では、助産院出産に興味がある人のなかでは知らない人がいないのでは?と思う東京都中野区の「松が丘助産院」で出産した、プレマルシェ・スタジオ中目黒の十二村さんに、今時の経験談を伺いました。
十二村さんの初産も、定義的には高齢出産です。しかし、ご友人には、同時期に出産を迎えた人が多いそう(子ども同士も一緒に遊べて素敵!)。参考までに、2022年政府統計では、27歳より36歳で産んだ人のほうが多く、25歳と39歳が同じくらいの人数でした。いわゆるアラフォーで出産する人は、実際に多いんですよね。
同時期に病院で出産したご友人の話を聞くと、十二村さんご自身も、助産院での出産との経験の差を感じるそうです。例えば、一番大変なのは陣痛なのに、友人たちは一人にされたり、他の入院中のママや新生児もいる部屋で過ごしたりしていたそうです。十二村さんは、「部屋は和室の個室でした。べったりではなかったですが、助産師さんは常にそばにいてくれた気がします。健診のときに、いつも顔を合わせていたから、安心感もありました」と言います。すごく良くしてもらったご記憶です。
陣痛がきて、助産院に着いたときには、まだ子宮口が開いていなかったそうです。一旦帰るかと聞かれたそうですが、家で一人で過ごすより助産院にいたい、という希望は叶えられ、そこから何時間も助産院で過ごします。陣痛を乗り切るいろいろな方法にトライしつつ、お腹の子が一緒にがんばるのを感じながら21時間かけて出産されたそうです。
もし病院出産だったら、一旦帰されるんじゃないかなぁ。そうでなければ、さほどケアされずにどこかで過ごすことになると思う。十二村さんは、コロナ禍での出産だと前置きされていましたが、昔から聞く話なので、違いを感じさせるポイントのひとつだと思います。もちろん病院によっても違うので、陣痛のときの対処については、産院選びで考慮に入れる価値があります。
フリースタイルで産む
十二村さんのご友人にも、「次は無痛分娩にする」と言う人がいらっしゃるようです。でも、普通、陣痛時には麻酔をかけないので、「意味なくない?」と十二村さんとわたしの意見は一致。毎回低体重の子を産んだわたしと違い、サイズ感のあるお子さんを産んだ十二村さんのほうが大変そうだった。でも、分娩そのものは、やはりあまり覚えてらっしゃらないようでした。
十二村さん曰く、「やっぱり産みやすいっていうのはあると思いましたね。普通に人間として動物として、分娩台で産むのはもう想像ができなかった。四つんばいになったり仰向けになったりうんうん椅子に座ったり、いろいろしました。1回助産院で産んで今度は病院ってなるとつらいですよね」
実際、わたしはつらかったのよ。
松が丘助産院では、分娩中に産院の整体師が来て物理的に広げてくれたりすることもあるそう。あと十二村さん、細部は覚えてらっしゃらないけど、最後は立った状態で、ご自身で取り上げてます。産みながら自分の手も添え、抱き上げ、赤ちゃんはそのまま胸の上。すぐには臍の緒切らないだろうから、しばらく繋がったままで過ごされたことでしょう。次回に続きます。