今号では、「行き詰まり」や「堂々めぐり」からサッと抜け出す方法をお届けします。必要なのは「たった2分のリセット」。抜け出せると余裕をもって大事なことに着手でき、楽になります。
先日、IT企業のプロジェクトマネジャーのTさんから、「目の前のタスクが多く、どれからどう手を付けていけばいいかわからない」という相談を受けました。具体的には「楽な作業から着手してしまい、重要なことを後回しにするとあとで行き詰まる」ということでした。そこで、行き詰まりやすい場面を思い出してもらうと、Tさんの身体に興味深い変化が起きたのです。
行き詰まりは息詰まりから
Tさんの身体は一瞬でこわばり、姿勢は前のめりに。表情も険しく一点凝視で、呼吸はいまにも止まりそうです。終わりが見えない焦りと息苦しさを吐露するTさん。目の前のタスクの細かい点に縛られ、心も身体も苦しいまま身動きが取れずにいました。そのため、もっている力を発揮できなかったのです。
「どうなっていたらいいですか?」と問いかけると、やっとの思いで「とにかく一度、落ち着く時間が欲しい」とおっしゃいます。量をこなそうと躍起になって、ひと呼吸つく時間さえも惜しんで行き詰まっていました。そこで、Tさんの思うように落ち着く時間をとってもらうことにしました。まず作業の手を止め、「ふ~」と伸びと深呼吸をしました。すでに表情に余裕が見えます。さらに椅子から立ち上がり部屋を歩き始め、窓を開けて新鮮な空気を吸いました。最後にお茶を飲み干すと、表情も身体もゆるみ、すっかり落ち着きを取り戻していました。この間、わずか2分。萎縮し視野が狭くなり空回ってしまう状態から、リラックスし全体視野で本領発揮できる状態へと、わずか2分で変化できたのです。
ご本人曰く「細かいところばかり追っていたが、リセット後は全体が見えるようになった」「ぱっと見で問題解決のあたりがつくので、問題解決が早くなる。次にやることも落ち着いて考えられそう」と嬉しそうに話してくれました。最後に、「こんな状態だったから、仕事などでドツボにハマることが多くて、自分が出したいパフォーマンスを上手く出せずにいたんですね」と驚いていました。まったく無自覚だったために息詰まり、行き詰りに対処できず抜け出せなかったのです。
いい状態にリセット
悪循環から抜け出せないときは、Tさんのようにリセットボタンを押してみませんか。がんばってダメなら、リセットして能力発揮ができる「いい状態」に戻ることを優先させるのです。
リセットに大事なポイントは3つ。「手を止める」「短くていい」「早いほどいい」です。ひと息つく時間を惜しみたくなりますが時間はたったの2分。泥沼にはまる前なら数十秒で効果が体感できます。いまやっている作業の手を止め、伸びや深呼吸、立ち上がる、歩く、新鮮な空気を吸うなどをします。短時間でできて効果満点です。そして、リセットは早くおこなうほど泥沼から抜け出しやすくなります。Tさんは15分毎にタイマーを鳴らし、目の前に貼った状態チェックリスト(左写真)で自己点検とリセットをおこなっているそうです。実力発揮しやすくなったとのこと。試してみる価値大ですね。